特許権を得るには特許出願するだけでは不十分です。
審査制度を採用している日本では、時間もお金も手間もかかるのです。
いつ特許登録されるのかな。画期的な発明だから一か月で特許査定されたりして!
楽しみだな。
方式審査、そして実身体審査を経て、特許要件(特許法29条等)を満たしたものだけが特許されるのです。
出願された全ての出願は方式審査に付されますが、実体審査されるのは「審査請求」がされた特許出願だけなのです。
出願したら自動で審査してくれればいいのに。
純粋に特許がほしくて出願されたわけではなく、「防衛」や「念のため」にされた出願もたくさんあるわけですから。
権利化までは望まないけど、他人がその発明で特許権を得るのは阻止したいと思う人もいるもんね。
そこで、日本の特許法は、出願という行為と実体審査を切り離し、実体審査を望む場合は、出願とは別に改めて出願審査をさせるという出願審査制度を導入したのです。
出願審査の請求
第四十八条の三 特許出願があつたときは、何人も、その日から三年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。
そして、審査請求料や特許料を払ってまで特許権を維持する必要がないと判断したら、その特許出願は取り下げや放置すればいいわけですし、特許がほしいと思ったら審査請求すればいいわけです。
あ、ところでさ、今は自分が特許出願人の立場で考えていたけど、逆に自分がその発明を実施しようとする人だったら権利が3年間も確定しないのは困っちゃうな。
特に特許出願って出願日から1年6月後には出願公開されるでしょ?
自分が実施する発明がその出願公開された発明と同じだったら、いつ権利行使されるかとひやひやしていなくちゃいけないのは怖いよ。
審査請求は誰でもできます(特許法48条の3第1項)から。
審査請求をした第三者であるチーたんには審査結果は通知されないんですけどね。
なお、出願審査請求は誰でもできますが、料金が高いのでむやみな請求に対する抑止力になっています。
ただ、3年を経過した後であったとしても、期間を徒過したことについて「正当な理由」があったときは、その理由がなくなった日から2月以内で請求期間経過後1年以内であれば、出願審査の請求をすることが出来ますよ(特許法48条の3第5項乃至7項)。
詳しく説明いたしますと、先ほど述べたように、審査請求期間を過ぎた特許出願は取り下げ擬制され(特許法48条の3第4項)、その旨が特許公報に掲載されます。
そして、その特許公報の発行後、第5項による出願審査の請求があった旨を掲載した特許公報の発行前に、善意に日本国内において「当該発明の実施である事業をしている者またはその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許権について通常実施権を有します。
出願審査の請求
特許法48条の3第4項 第一項の規定により出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかつたときは、この特許出願は、取り下げたものとみなす。
5 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第一項に規定する期間内にその特許出願について出願審査の請求をすることができなかつたことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、出願審査の請求をすることができる。
6 前項の規定によりされた出願審査の請求は、第一項に規定する期間が満了する時に特許庁長官にされたものとみなす。
7 前三項の規定は、第二項に規定する期間内に出願審査の請求がなかつた場合に準用する。
8 第五項(前項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定により特許出願について出願審査の請求をした場合において、その特許出願について特許権の設定の登録があつたときは、その特許出願が第四項(前項において準用する場合を含む。)の規定により取り下げられたものとみなされた旨が掲載された特許公報の発行後その特許出願について第五項の規定による出願審査の請求があつた旨が掲載された特許公報の発行前に善意に日本国内において当該発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許権について通常実施権を有する。