二次的著作物を創作するときに問題となるのが翻案権の侵害です。
今回は「翻案権」について具体的事例を見ながら理解を深めましょう。
翻訳権、翻案権等
第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
翻案の例としては、編曲する行為、小説を映画化やアニメ化・ゲーム化する行為などが挙げられます。
あいぴーがしようとしているのは、坂本龍馬が主人公の既存の小説のアイデアを真似しているだけです。
ですから、翻案権の侵害とはなりません。
アイデアを守るのは別の法律(特許法)だから。
ちなみに小説のアイデアが特許法で守られることはないけどね。
ただし、ネタバレになるほど詳細な説明をすると、要約ではなく、翻案になってしまいます。
「本質的な特徴」が何かは個別具体的に裁判所で判断しないとわかりませんが、基本的なストーリーやプロットが似ていれば、翻訳権・翻案権の侵害になります。
もし海外ドラマの内容に似た小説を書きたいのだったら、著作権者から翻訳や翻案をすることについて許諾を受けなければいけません。
なお、こうして創作された日本語の小説は「二次的著作物」(著作権法2条1項11号)と言います。
そして、二次的著作物の権利は翻訳や翻案をした人に発生します。
もちろん、勝手に翻訳・翻案したあいぴーは著作権侵害をしているのですからその点忘れないで下さいね。
でも、たとえ著作権侵害により創られた作品だったとしても、あいぴーの二次的著作物を勝手に利用した人はあいぴーの著作権の侵害になります。
なお、二次的著作物の利用に関して、原著作者は二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有するとされています(著作権法28条)。
二次的著作物の利用に関する原著作者の権利
第二十八条 二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。
たとえば、あいぴーが勝手に翻訳した小説を出版する場合には原著作者に出版の許諾を貰わなければいけません。
小説が勝手に漫画に翻案された場合、漫画の背景を勝手に複製されたら、原著作者はコピーした人を訴えることができるんでしょ。
「漫画の背景」は原著作物である小説の中に表現されていませんから、原著作者は著作権侵害だと主張することはできません。
こんな風に裁判で使われていた言葉を使って説明するとわかりにくいでしょうから、例示すると、たとえば、
私だったら、未来は、ほんの20年くらい未来にします。
そして、未来から来たロボットが持ち出す発明は、どれも超リアルで20年後に本当にありそうなものにします。
そして、主人公はのび太くんではなく、キテレツタイプの子供にし、最後には自分で発明をするようになります。
視聴者は一般の子どもたちを対象としておらず、主に発明に興味のある大人たちをメインターゲットとします。
これにより、日本のモノづくりを活性化させます。