意匠の類似は、審査時や侵害時において判断される重要な概念です。
しかし、意匠法上明文の規定がありません。
意匠の類似については高田説、加藤説、斎藤説等様々な学説がありますが、特許庁の採用している創作説(この記事も創作説を採っています)を中心に覚えると良いでしょう。
どれくらい似ていると意匠登録されないんやろか?
意匠の類似とは、対比する意匠の創作的価値が共通することを言い、同一の美的特徴を発揮していることを言います(創作説)。
意匠法が新規な意匠を保護するのは、それにより需要を喚起し産業の発達に寄与しようとするためであり(意匠法1条)、その手段として意匠の創作活動を奨励し、新たな意匠の創作によって市場活動の活発化を促すことを目的としています。
ここで、創作された意匠には創作として一定の幅があり、創作的価値が共通すると認められる観念的な範囲があります。
しかし、意匠法が定義する意匠は物品の美的形態であり(意匠法2条1項)、技術的思想とは違い、明示的には具体的形態として現されるものです。
したがって、登録意匠の範囲(24条)を願書の記載や図面等に現された意匠だけに限定していたのでは、創作範囲の全体が保護されず、模倣盗用の容易な意匠の保護が効果的に図れなくなってしまいます。
そこで、法は「類似」概念を導入し、創作的価値の共通性が認められる範囲にまで権利の及ぶ範囲を拡大させ、創作保護と第三者の利益との調和を図っています(意匠法3条1項3号、23条等)。
商標の場合は類似の範囲には排他権しか認められないからね
意匠法第二十四条第2項には、「登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものとする。」と明記されています。
これは、最高裁の判例を明文化したものです。
特定の人物を指しているわけじゃないんでしょ。
専門家であるデザイナーのような創作者を基準としても、流通過程においては少数派ですからね。
意匠は物品の美的形態であり(意匠法2条1項)、物品と形態は一体不可分のものであるため、物品が同一または類似でなければ意匠の類似の問題は生じません。
ここで、同一物品とは用途及び機能が共に同一である物品をいいます。
たとえば赤鉛筆と青鉛筆は意匠法上は同一物品です。
たとえば、万年筆と鉛筆は類似物品です。
なお、部分意匠の場合は物品の同一・類似の他に「意匠登録を受けようとする部分の機能・用途」の同一性や共通性が求められますよ。
形態類似とは、形態構成要素が社会通念上似ていることを言うと解されます。
そして、部分意匠の場合には、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の物品全体の中に占める位置、大きさ、範囲を考慮して判断されます。
どんな場合に意匠が非類似とされるん?
ただし、例外的にラジオ受信機とラジオ受信機用キャビネットは物品類似となります。
外観を観察する理由は、内部構造のように取引の際に見えない部分は美的形態としての意匠の構成要素とはならないからです。
あいぴーのせいで話がズレたよ。
特徴的部分がある意匠も全体観察しかしないの?
特徴ある創作部分は、たとえ小さい部分であっても需要者の注意をひきますからね。
ぼくもそれには激しく同意するけど
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