「~したい」「~したくない」「~だったらいいのに」
顧客は常に何かしらの悩みを抱えています。このような悩みを解決するためなら人は喜んでお金を払います。

ダイエットしたい顧客へダイエットサプリを販売するのもいいですが、顧客がダイエットに成功するように食事や運動を徹底的に管理してあげるサービスを提供することも顧客に喜ばれます。そして、そのほうが結果を出せるので、サプリを売ってそれっきり、より顧客にプラスになります。

「ソリューション」=「解決」を提供できるということは、顧客に取っては望ましいことであり、企業としては収益に結びつく理想的なビジネスなのです。

ふっくん
トヨタで売っているものは何ですか?
あいぴー
何って・・・、自動車や

ふっくん
メーカーですからそうなりますね。でも、売っているのは自動車だけですか?

ふっくん

トヨタは自動車保険やカー用品なども扱っています。これらは自動車を購入した人が安心・安全に自動車に乗り続けるために必要になってくるものですよね。

また、トヨタは車のレンタルもしています。”車を買いたい”(格好よく見られたい、家族とドライブを楽しみたい、etc…)人だけでなく、”短期間だけ車を使いたい”顧客をも取り込んでいます。

さらに、自社の特許技術を活用して、ミシンも作っていますよ。

ふっくん
さて、これらの話は顧客のウオンツ(~したい)に目を向けた事業の多角化ですが、顧客の”~したくない。痛みを取り除きたい”という悩みにフォーカスして会社の方針を根本的に変えてしまった会社があります。

IBMって知っていますよね


あいぴー
パソコンの会社やったかな?

ふっくん
以前はパソコン製造メーカーとして有名でした。でも、今はパソコン自体は売っていません。システムコンサルティング部門とソフトウエア開発の会社になっています。

IBMで売っているのは、”顧客の課題を解決する方法=ソリューション”です。

パソコンを買う顧客には、周辺機器を買い揃えなければいけない、とか壊れたら修理しなくてはいけないといった悩みがありますよね。
IBMは、そんな顧客の悩みを一括して引き受け、修理やネットワーク管理を代わりにしてあげているのです。
また、業種別、分野別にコンサルティングをしたり、メーカーを問わず古くなったパソコンを買い取ったり総合的なサービスを提供しています。

あいぴー
サービスを提供するだけなら在庫を持たなくて良くなるからエエな

ふっくん
そう。場所を取るモノを売るよりも、サービスを売ったほうが収益率がよくなります。

立場が強くなれますからね。

商品を売る前はお客様にペコペコしなくてはいけませんが、売ったあとは逆にお客様の方がメーカーにお願いしなくてはいけなくなるでしょう?

あいぴーの会社も、ものづくりだけをするのではなく、”顧客の悩みを解決する”サービスを提供できるように会社の方針を転換してみてはいかがでしょう?


あいぴー

そうやなぁ。うちの会社は小さいから工場設備にはまだそれほど投資してないねん。

受注量がそれほどない今、工場設備に投資をしてたくさんモノを作るより、サービスを充実させることを先行させたほうがいいのかもしれんな

ふっくん
ドリルを買いに来た客はドリルを欲しいのではなく、ドリルの穴が欲しいって言いますよね。

あいぴーも製品以外で顧客の悩みを解決することができないか考えてみてください。

今までに蓄積した特許権やノウハウなどの知的財産を利用して顧客の悩みを解決するのです

あいぴー
チーたんと一緒に知財の棚卸をしてみるな。

今まで設備にそれほど投資していないから、メーカーからサービス業へ転換するのも気楽にできるわ

ふっくん
IBMのようにサービスだけで収益をあげるのもいいですが、いきなりそうするよりも、まずはサービスを充実させて製品を定価で売るという方法をとってはいかがでしょうか。

明確な方針が出来たら思い切って工場を手放してしまっても構いませんが。

IBMもサービスに特化したのはいいのですが、”お客様の本当に解決したい課題”に対して最も効果的な解決策を出せているかというと疑問はあります。

今まで物を製造販売してきた人たちが今度はサービスを提供することになるわけですから、今まで働いてくれた人材を有効に活用できなくなる可能性もあります。

それは大きな損失ですよね。

あいぴー
サービスが充実していてもパナソニックのお店は家電量販店に顧客を奪われて苦戦しているみたいだから、どんなサービスを提供するか、どんな悩みを解決出来るかよく考えるわ

ふっくん
そうですね。

会社の方針を転換する時期には一時的には収益が下がってしまうのでしっかり準備をしてくださいね。

でも、製造業よりサービス業の方が利益率が良いので将来的にはプラスになりますよ。


ふっくん
 通常、大型機械を売ったあとのメンテナンスや修理、部品交換にかかる費用は、トータルで機械自体の額よりも多くなります。場合によっては数十倍にもなります。

ですから、アフターフォローをしっかりしたほうが顧客のためにもなりますし、結局は機械を売っているだけよりも儲かるんですよ。

あいぴー
でも、格安で修理を受け付ける業者に仕事を持って行かれてしまうで。

ふっくん
そんなときこそ知財の出番です!

たとえば、機械の中の交換部品や洗浄に使う薬剤、修理の方法等についても特許を取るのです。

そうすれば、あいぴーの会社と同じ方法で修理をする業者を締め出せますし、違う方法で修理をする業者がいたとしても、必須の交換部品はあいぴーの会社から買ってくれますし、効率的に仕事をするために薬剤も買ってくれるでしょう。


ふっくん
自社の真似をする他社に特許をライセンスすればライセンス料で稼げますから、自ら出向いて修理をする必要すらなくなってしまいますよ。特許権だけ握っていればいいんです。

また、自社が販売しているのが大型機械でなく、小さな器械だったとしても”顧客の悩みを解決する”サービス事業をすることができますよ。

たとえば、その機械が定期的に掃除や修理が必要なら、器械のレンタルサービスをしてみてはどうでしょう。

顧客が自分でメンテナンスする手間を省いてあげるのです。

製品を売って終わりではなく、月々少額のリース料が入ってくるようになるので一時的には収益が落ちることもあるでしょうが、利益率は高くなるでしょう。

このように、知的財産権を持っていれば、いろいろな手段で収益をあげることができるようになりますよ。


あいぴー
手ではなく頭を使って稼ぐ、文字通り知的な財産権やね

ふっくん
顧客の悩みも知的財産ですよ。顧客からクレームがきたら、それは改善策につながるので有難い意見として受け止めてください。顧客の悩みを解決する会社になるためには、まずは顧客の声にしっかり耳を傾けてください。そして、売ろう、売ろうとするよりもお客様に寄り添って、苦しみを取り除く手段を考えてください。

あいぴー
顧客も喜んでくれる。会社も嬉しい。win-winやね!

ふっくん
頭を使えば、社会のためにもなって儲かる仕事ができますね。