弁理士や特許技術者など、特許事務所で働いていた人や企業で働いていた人が40代、50代になってから転職活動をする場合があります。
転職は20代、30代の人が中心に行うものというイメージがあります。しかし、人生の折り返し地点である40代やベテランである50代になってから転職を行う人も増えています。

それには以下のような理由があります。

 

1.リストラ

40代や50代が転職する理由としては、まず、リストラや早期退職勧告による離職が挙げられます。

日系企業の場合は労働基準法がありますからそれほど怖くはありませんが、外資系企業の場合はリストラの恐怖とは常に背中合わせです。

また、日本の企業の場合でも、40代以上の人を雇っていると相対的に人件費が多くかかることからベテランの人たちに早期退職を実施します。そして、退職金に上乗せしてくれる早期退職制度に応じて早めに退職してしまう人もいます。

ただし、今の会社を出てやっていける自信のない人はそのまま会社に残ります。
自信がないという言い方をすると語弊があるかもしれませんが、普通の人は40代50代で転職するとまず確実に年収が下がることから、会社にしがみつくのも生きる知恵です。
有無を言わさずリストラする外資系企業の人や自分に自信のある人は転職という道を選びます。
この点特別なスキル、弁理士資格を持っている人は有利ですね。

 

2.将来への不安

リストラはまだ行われていなかったとしても業績が不振で将来への不安から転職を考える人もいるでしょう。
40代前半の人は自分はリストラ対象ではなかったとしても後5年もしたらリストラ対象になる可能性があるので転職を意識します。

また、定年後に特許事務所を開業するために特許業界へ転職しておこうとする人もいます。定年後は所長弁理士として働きたいという人は、今のうちから定年後を見据えて人生設計をしておく必要があります。

 

3.弁理士資格を取得したことによる転職

弁理士資格を取得したことにより意気揚々と特許事務所の門を叩き弁理士としての新たなキャリアを積もうと考え転職を試みる人もいることでしょう。
しかし、これはかなり危険なことです。
というのも、弁理士資格を持っていただけでは特許事務所に採用されることは難しいからです。
あくまでも、特許事務所への転職は実務経験があってのものであるということを忘れないでください。

特許事務所に就職するには35歳以上の人の場合は必ず実務経験が必要となります。したがって40代・50代で特許事務所未経験者は、「弁理士資格はとったけれど仕事なし」という恐ろしい状況に陥る可能性があります。

 

4.実務家弁理士としての転職
既に実務経験がある弁理士が特許事務所へ転職する場合も考えられます。この場合だけは、年収がアップすることが考えられます。20代・30代の転職と同じようにポジティブな転職です。

この場合は、より待遇と年収の良い特許事務所へ転職すると良いでしょう。

なお、今の特許事務所の給与体系が「定年後は年収減額」制を採っている場合は、50代(55歳前がベスト)のうちに別の特許事務所へ転職してしまったほうが良いでしょう。

 

40代・50代の転職成功のコツ

 

40代・50代では絶対に転職は出来ないのかというとそんなことはありません。
上記4で見たように、十分な実務経験を積んで弁理士資格を保有している人の場合は即戦力となるため、割りと楽に転職できます。

実際に、特許事務所の求人では、特許実務経験者なら55歳まで可能としているところも多くあります。

他の業界ではなかなかみられないことです。

 

しかし、知財業界未経験だったり、弁理士資格を持っていなかったり、または経験者ではあってもスキルが十分でない場合には即戦力扱いにはならないため転職が困難になります。

転職に成功しない人の多くは雇用者側の気持ちになっていないため、成功できないといえます。
では、どうすれば転職に成功するのか成功のコツを述べていきたいと思います。

 

1.大幅な年収ダウンを受け入れる

20代や30代の転職とは違って、40代や50代の転職では、年収アップを期待してはいけません。それどころか、年収が下がって当たり前と考えましょう。
たとえば、あなたが企業知財部で年収900万円もらっているとします。
転職をする際に希望年収を100万円減額した800万円として転職先を探したとします。さて、転職先は見つかるでしょうか。

 

残念ながらこの年収ではあなたに特別なスキルがない限り転職先は見つからないでしょう。
なぜなら、20代・30代で年収600万円を希望している求職者がたくさんいるのです。わざわざあなたを雇うメリットが会社や特許事務所にあるでしょうか。
どうせ雇うなら安く雇えて成長の余地のある20代・30代を雇いたいと思うでしょう。

 

したがって、40代・50代で転職する場合には、年収は大幅にダウンすることを覚悟して転職活動を行わなければいけません。

 

実務経験はあるけれど弁理士資格を持っていないのなら、今から弁理士資格取得に向けて猛勉強をするとか、それまでの経験をアピールしなくてはいけません。
管理職ならば、その枠で採用される可能性もありますから、職種も限定しないで経験を活かせる仕事を探してください。

 

40代・50代の転職は非常に困難です。1年かけて転職活動をしたものの、結局転職先が見つからず、時給950円のバイトで食いつないでいるという状態の人もいます。

 

それに比べれば、年収が大幅にダウンしようとも「雇ってもらって良かった」と感謝しなければいけない状態であるということが理解できるでしょう。

 

2.職種や勤務地にこだわらない

絶対にやりたくない仕事以外はある程度受け入れる覚悟はしておいたほうが良いでしょう。とはいっても、経験を活かせる仕事となるとある程度職種は限られるでしょう。

 

中途採用の際、企業は候補者が過去の業界や職種で培ってきた専門知識・専門能力の高さだけではなく、利害交渉能力やコーチング能力、問題解決能力などを評価してくれることがあります。

40代・50代以上の人には「業種や職種に関わらず普遍的に必要なスキル」をもっていることもあります。雇う側はこうしたスキルを期待していることも多いのです。

自分ではこの「隠れたスキル」に気づかないことも多いでしょうから他者にあなたの隠れたスキルを見つけ出してもらうことが有効です。

私も多くの人の転職相談に乗ってきたのでお役に立てると思います。お問い合わせ下さい。
 

弁理士資格は持っているものの未経験の場合は恥ずかしくても最初は未経験枠で特許技術者や特許事務員として雇ってもらいましょう。
年下から学ぶことになるので辛い思いをするかもしれません。
特に先輩弁理士が嫌な性格の人の場合は最悪です。
しかし、それでもバイトで食いつなぐよりはマシです。

 

将来独立することを念頭に、「たとえ給料は少なくても、お給料をもらいながら勉強させてもらえる」と考えてみてはいかがでしょうか。

考えようによっては、これほど恵まれた環境はないかもしれませんよ。

 

職種よりも問題となるのは勤務地です。
たとえば、マイホームがある場合や家族の介護がある場合は勤務地は今の場所から離れられないという事情があるでしょう。
しかし、ただでさえ転職が難しい状況にあるのに更に勤務地まで限定してしまうと、転職はほぼ不可能となります。
逆に言うと、全国どこでも転勤可能とフットワークの軽さをアピールすることにより40代・50代でも転職に成功する確率がぐんとあがります。

 

3.無職期間はなるべく作らない

退職してからゆっくりと転職活動をする人がいます。そして、転職活動はするものの上手く行かずいつのまにか数ヶ月があっという間に過ぎてしまいます。
そして、転職活動が長引けば長引くほど転職は遠のきます。
なぜなら、無職の期間が長い人は、雇う側からすれば「この人はこんなに長い期間どこにも相手にされなかったのだな」と売れ残りの印象を受けてしまうからです。

したがって、現在無職の人は一刻も早く仕事につかなくてはいけません。
上記1,2で述べたように年収や勤務地にこだわっている場合ではありません。
うかうかしていると高校生のバイト以下の収入になってしまいます。

 

4.派遣という考え方も受け入れる

正社員にこだわらなければ仕事はあります。派遣でも内容的には面白い仕事もあります。
何のスキルもない場合にできる仕事は警備員の仕事など限られたものになりますが、知財業界で働いていて何のスキルもないということはないでしょう。意外と面白い仕事がみつかるかもしれません。

 

 

 

以上、40代・50代での転職成功のコツについてお話しましたがいかがだったでしょうか。

 

一番のコツは

 

早い時期にプライドは捨てる。

 

ということです。

これができないと、年下から馬鹿にされてより苦しい思いをすることになります。

 

知財業界では高学歴高年収の弁理士たちがゴロゴロいます。
若くても年収数千万円の人たちもいます。

 

そのような人たちと自分を見比べていても虚しいだけです。
早い段階で他人は他人。自分は自分と割り切ってしまいましょう。

 

他人を馬鹿にするような人間の出来ていない人はどこにでもいるものです。弁理士業界なんてそんな人たちの集まりかもしれませんよ。
そんな人を相手にしてイライラしていては時間を無駄にするだけです。
他人のことは気にしないのが一番です。

 

また、他人の言葉に振り回されないのも大事です。

 

他人はあなたの人生に責任なんて持っていないくせに好き勝手なことを言ってきます。
それがあなたを傷つけるようなものであった場合、無視したほうが懸命です。

 

このように、人間関係では辛い思いをすることもあるでしょうから、「大人」な人が多くいる特許事務所への就職を考えるべきでしょう。

 

既にに申し上げたとおり、「勉強させてもらいながらお給料ももらえる」と考えて謙虚に仕事をするべきです。

 

年収など求人票に書かれていることだけを見て転職先を決めるのではなく、雰囲気など他のことを重視したほうが良いでしょう。

 

また、通常は大手の特許事務所の方が転職しやすいのですが、この場合には小さな事務所に転職する方が良いでしょう。
というのも、小さな事務所のほうが「事務所の歯車」として細部だけを任されるのではなく、全てをこなすことができるジェネラリストになれるからです。

 

いずれ独立するつもりなら、スペシャリストではなくジェネラリストを目指すべきです。

 

なお、未経験であったり、ブランクが長い場合には、忙しすぎる事務所は避けるべきです。
毎日毎日明細書に追われるようなことになってしまうと「事務所経営」のけの字も知らずに時間が過ぎ去ってしまいます。

 

転職前にしっかりと事務所所長と話しあっておいたほうがよいでしょう。

初年度の年収は下がっても良いでしょう。

 

勉強のために働かせてもらえるのなら、年収300万円だっていいくらいです。
それがいずれ何千万円に化けるのですから。

 

逆に言うと、あまり年収の高いところへ転職してしまうと、忙しすぎて経営を学ぶどころじゃなくなってしまいます。

 

色々と書いてきましたが、他にも情報をお渡しいたしますのでお問い合わせください。