現在の仕事内容や給与等に不満を持っている場合、華やかに見える知財(特許)業界に憧れを抱く人も多いでしょう。
特に弁理士の平均年収は約750万円ですし、勉強は難しくても努力しよう!と思いますよね。また、特許事務は転勤がありませんし子育てをしている女性向きの仕事です。
でも、知財業界未経験の人が知財(特許)業界に飛び込む前に考えてほしいことがあります。
それは、
年齢は若いか
仕事内容を理解しているか
幻想を抱いていないか
理系か?文系か?
学び続ける向上心を持っているか
の5つです。
以下、順に説明します。
なお、企業知財部と特許事務所の仕事は異なります。この記事では特許事務所の仕事をメインに書きます。
企業知財部と特許事務所の仕事の違いはこちらの記事を御覧ください。
1.年齢
あなたは今、何歳でしょうか。20代前半なら何も知らないままに知財業界に飛び込んで見るのも面白いかもしれません。ただし、企業知財部ならいいのですが、新卒で特許事務所に行くことはお勧めしません。企業知財部から特許事務所への転職は簡単なのですがその逆は難しいからです。
ただし、新卒で特許事務所へ行って大活躍されている弁理士さんはたくさんいらっしゃいますのであまり関係ないかもしれません。
既に別のお仕事をされている方は、転職することになるので、事前にどのような世界なのか知っておいたほうが良いでしょう。少なくとも特許明細書については知っておくべきでしょう。
知的財産権に関することなら特許庁のホームページを見て情報収集をしてみるのも良いと思います。
なお、私のサイト「知財の知識」でも特許法をはじめ、様々な法律について説明をしていますが、法律の解説がメインですので、J-Platpatで興味のある技術分野の明細書を見てみると良いでしょう。
特許事務員なら未経験でも転職しやすい仕事です。
短時間にたくさんの仕事を処理する必要があるので女性向きです。
しかし、特許技術者や弁理士の場合は経験が重要です。
30代だと今から弁理士試験の勉強を始めるとして受かる頃には何歳になっているでしょうか。(平均的な勉強期間は3年半です。約3200〜4800時間)
今別の仕事をしていて弁理士資格を採ってから知財業界に飛び込むとなると、年下の人に実務を教えてもらうことになる可能性があります。
その人が良い人ならいいのですが、威張るタイプの人だった場合には精神的にストレスを感じるでしょう。
年下から仕事を教わることになっても構わないという人以外は、今すぐに知財業界に飛び込み、少しでも実務経験を積んでいた方が良いです。
知財業界は弁理士資格も重要ですが、実務経験者が優遇される世界です。
2.仕事内容
企業知財部の仕事や特許事務所の仕事は独特の仕事です。特許出願書類を内製している会社であるか、大きな特許事務所か小さな特許事務所かによって仕事内容も変わってきます。
「こんな仕事だったの!?」とショックを受けないように、明細書とはどんなものなのか等知財の世界に慣れておいてください。
また、「特許翻訳」というものは、純粋に英語が好きな人には向かないと思います。技術用語のオンパレードですから。翻訳業界の中でも一番需要がある「特許翻訳」は、一番「英語が好きな人が楽しめない」仕事であるともいえます。
ただし、技術を学び続ける覚悟がある人にはお勧めします!英語も技術も両方好きという人は少ないので有利ですよ。
3.幻想
基本的に弁理士や特許技術者の仕事は地味です。
これは、主に受験予備校に罪があるのですが、「弁理士になってバラ色の人生」なんて幻想です。高収入でモテモテに!なんてことはないので幻想は取り去っておいたほうが無難です。
モテたいなら弁護士になった方がいいでしょう。
ただ、下手に考えもなく弁護士になるよりは、技術者としての経験のある弁理士のほうが確実に稼げます。
それから、文系弁理士は儲からないといわれているので文系で弁理士になるよりは特許翻訳をしたほうがいいかもしれません。どの道を進むか決める前に、自分の好きなことと仕事内容があっているかどうか見極めてください。
特許事務の仕事も地味ですが、法律を覚える必要があるため普通の事務職より大変な分、給与も高めなのでなかなか良い仕事です。2年程度仕事を続けていればだいたいのことは覚えられますし、別の特許事務所へ転職したときにも経験者として優遇されることになるので、旦那さんの転勤に合わせる可能性がある女性にお勧めの仕事です。
4.理系?文系?
仕事内容にもよりますが、弁理士や特許技術者の仕事の8〜9割は技術に関することですので、理系の素養がないと苦労することになります。商標や意匠弁理士も存在しますが、経験を積んでも平均年収は500〜600万円程度です。
特許事務や特許翻訳は文系でもできます。
ただ、特許翻訳の場合は一定の技術分野に関しては勉強しなくてはいけません。
5.学び続ける向上心を持っているか
特許法等法改正は頻繁に行われますし、技術も日々進歩しています。したがって、知財部で働いている、弁理士であるということにあぐらをかくことなく、日々勉強をし続ける努力が必要です。
なお、この「努力」が出来る人ならば4であげた「文系」の人でも大丈夫です。文系出身でも技術の勉強をして一流の明細書を書かれている人はいますよ!
以上、未経験者が知財業界へ転職する際に考えてほしいことを挙げてみました。
ぼんやりとした「なんとなく転職してみたい」から「この業界へ転職したい」というハッキリとした決意に変わったら転職を試みてください。
それほど華やかではありませんし個性的な人が多い業界ではありますが、真面目でコツコツ型の人が報われる世界なので、自分に向いている!と思ったらぜひ知財の世界に飛び込んでみてください。
未経験の場合は「若さ」が最大の売りですので、一日も早く転職活動を始めましょう!
もっと詳しい情報がほしい場合にはお問い合わせください。
未経験の方の場合には情報の入手法がわかりづらいでしょうから我々がお手伝いいたします。