知財業界では、どのタイミングで転職するのが効果的なのでしょうか。
基本的に、求人が増える時期に転職したほうが、多くの選択肢の中から選べることになるので効果的です。

では、どの時期に求人が増えるのでしょうか。

 

企業の場合は、4月と10月に異動が行われることが多いことから、このタイミングで転職する人が増えます。よって、抜けた穴を埋めるために、4月10月は他の月に比べ、求人数が増えます。
また、1月と7月も比較的求人が多い月といえます。
多くの企業では12月と6月にボーナスが支給されるため、ボーナスをもらってから転職しようとする人が増える時期だからです。

ですから、この時期を狙って転職したい場合は、2〜3ヶ月前には転職活動を初めておく必要があります。10月に転職したいなら7月に、7月に転職したいなら4月には転職の準備をしておくべきです。
特許事務所の場合は年俸制をとっていてボーナスが出ないところも多いので企業への転職と同じように考えることはできません。
特許事務所の場合は、弁理士試験の合格発表がある11月に弁理士の求人が増えます(コロナ以後は例外)。7月の論文式試験が終わった時点で自信があるのなら転職準備を始めても良いでしょう。場所によっては論文試験に受かっただけでもほぼ弁理士と同様に扱ってくれるところもありますが、どうせなら最終合格を掴み取ってから高額の年俸を得て転職したいところです。(しかし、良い案件はすぐに埋まってしまうこともあるので運を掴むには早めの準備も重要です)
転職では上述のように求人の多い時期を狙って転職するという方法もありますが、勤続年数や転職の回数によっては転職を見送ったほうがいい場合もあります。
というのも、勤続年数が2年以下だったり転職回数が多い場合(20代で2回以上、30代で4回以上)の場合、雇う側は「この人はうちでずっと働いてくれるのだろうか」と不安になってしまいますので、勤続年数が条件を満たすまでは今の場所で頑張り続けるという方法をとるべきです。

 

ただし、もう少しで30代になる、40代になるという区切りの時期には早めに転職活動をしておいたほうが良いかもしれません。というのも、30代や40代の大台に乗ってしまうと途端に求人数が減ってしまうからです。29歳なら20代と言えますし、39歳も30代ですよね。でも、30歳になった途端30代ですし、40歳になりたても40代です。
「今回の転職後はもう転職しない!」という意気込みで転職するのも良いでしょう。
なお、この場合は絶対に転職に失敗しないように転職エージェントの力を借りてたくさんの情報を仕入れ、厚待遇で雇ってもらえるように交渉してもらいましょう。

たとえ転職回数が多くても、一箇所での勤続年数が長い場合は肯定的に捉えてもらえる可能性が高くなります。
また、大きな結果を残している人はそれを武器にポジティブな転職を行うこともできるでしょう。

 

なお、未経験の人が知財業界で働きたい場合は、35歳が分岐点となります。40歳になってしまうとたとえ弁理士資格+英検1級を持っていたとしても知財未経験者はどこにも雇ってもらえない可能性があるのでいずれ弁理士になって知財業界で活躍したいと考える人は早めに知財業界に飛び込んでしまったほうが良いでしょう。
なお、特許事務所の場合、弁理士資格+英検1級を持っていたとしても文系で35歳は雇ってくれるところは少なめですが(雇ってもらえても事務員並の給料)、理系の場合は弁理士として活躍できる可能性がずっと高いといえます。
(ただし、将来商標弁理士として生きていくんだと覚悟を決めた人はスキルを身につけるため最初は頑張るべきです。プライドなんて捨ててしまえば数年後には報われます)

 

退社や退所する場合には、1ヶ月くらい前には上司や所長に告げましょう。
法律上では、退職の意思を明らかにして14日(2週間)が経過すれば、退職できるようになっています。しかし、いくら法律ではそのようになっていたとしても、立つ鳥跡を濁すべきではありません。
引き継ぎなど必要な手続きをすませなければいけないので遅くとも1ヶ月前には退職の意思表示をすることが望ましいのです。
特に、知財業界は狭い世界です。あなたが退社した後にその会社があなたの転職先特許事務所の顧客となる可能性もあります。すると、問答無用であなたの特許事務所との契約を打ち切られてしまうこともあります。
すると、所長のあなたを見る目が冷たくなることは目に見えています。年俸にも反映するでしょう。
くれぐれも円満退職できるように努力してください。

なお、転職について悩みがある方はどうぞお問い合わせください。
知財部員や特許事務所弁理士など様々な方の転職相談に乗ってきましたので役立つ情報を提供できるかと思います。