地位を利用してパワハラを行う上司の存在は社会問題化しています。
そのため、普段は真面目な上司が突然キレたりすると、「このパワハラ上司め!」と怒りを感じてしまうかもしれません。
また、あなたがちょっとしたミスをしただけでも激怒して、そのミスのことをネチネチと繰り返し指摘する上司もいるかもしれません。
すると、あなたとしては上司のパワハラに対抗する方法を得ようと努力するでしょう。
しかし、その上司、もしかしたら発達障害かもしれません。
発達障害の定義
ここで、発達障害についてごく基本的なことを知っておきましょう。
まず、発達障害は、「生まれつき」のものです。後天的に身につけたものというわけではありません。
また、急に特性が消えるということもありません。
病気ではないので「治る」こともありません。
さらに、子供のときに発達障害であることが判明します。
しかし、発達障害については近年になって研究が進んできた比較的新しい分野なので、今現在45歳以上の人の場合は子供の頃に発達障害だと診断されなかった可能性が高いといえます。
発達障害と一口にいっても、様々な種類があります。
「不注意・多動性・衝動的」といった特徴が見られるADHDや「コミュニケーションが苦手・社会性の欠如・こだわり」が見られるアスペルガー症候群(自閉症スペクトラム。ASD。以下、一般的に浸透しているアスペルガー症候群という呼び方を使います)、LD(学習障害)など症状は異なっても発達障害と一括りにされます。
ADHDとアスペルガー症候群の両方が重なる人もいます。
発達障害の人の場合は、社会的に普通に振る舞うのが苦手であるため、仕事を見つけることは困難なのですが、アスペルガー症候群の人などは、知的障害を持っているわけではないので、健常者と同じように仕事に就いている場合もあります。
特に、こだわりが強いため、仕事によっては非情に優秀な人材と見られることも多く、昇進し、会社で責任のある立場についている人も一定数いると考えられます。
そこで問題となり得るのが、部下との関わり方です。
立場上、部下はどうしても上司と対等に話すことは出来ないので、不満があってもそれを上司に直接伝えることなどできないのが通常です。
そんなときにはそれとなく察してあげて部下が働きやすい状況に持っていくのが上司の役割ともいえますが、アスペルガー症候群の人の場合は、「察する」「空気を読む」ということができません。
そのため、上司は真面目に淡々と仕事をこなしているだけなのに、知らず知らずのうちに部下の不満が蓄積しているという状況に陥りやすいといえます。
アスペルガー症候群の上司との関わり方
上司がアスペルガー症候群の場合は、上述したように、突然症状がなくなるということはないので、部下のほうが関わり方や考え方を変える必要があります。
まず、「上司はアスペルガー症候群なのだ」ということを認識します。
本人に聞くことができるなら聞いてみても良いでしょうし、言動から判断してもいいでしょう。
性格が悪いのではなく、アスペルガー症候群なのだ、ということがわかれば、考え方も変わるはずです(アスペルガー症候群ではなく、性格が悪くパワハラやモラハラをしているだけの上司の場合は以下読み続ける必要はありません。こちらの記事を御覧ください)。
確かに、空気が読めなかったり、気にしていることでも歯に絹を着せずにズバッと言ってくるので傷つけられた経験があるかもしれません。
しかし、あなたの上司は真面目で嘘は言わないはずです。
それがアスペルガー症候群の特徴だからです。
裏表のない真っ直ぐな人柄といってもいいかもしれません。
(といっても社交的な嘘についてはつきませんが、自分を守るための嘘などは付きます)
そう考えると、「悪口」と思ったことが、単に事実を述べただけということがわかります。
「太っているね」といわれたとしても、悪意があってそう言ったのではなく、実際に太っているから太っているといわれただけだと認識すればいいのです。
ということは、褒められたときはお世辞ではなくて、本当に素晴らしいのだと自信を持つことができますよね。
下手なお世辞よりずっと嬉しいはずです。
アスペルガーの人と話していると、本当のことしかいわないので、傷の舐め合いをして慰め合うということは出来ませんが、ズバズバと本当のことを言ってくれるので、スキルが格段にアップしやすいといえます。
このアスペルガー症候群の人のメリットに目を向ければ、決して上司として劣っているとは言えないでしょう。
むしろ、普通の人より良いかもしれません。
なぜなら、部下をえこひいきしたり、イジメたりすることがないからです。
これは大きな美点ですよね!
プライベートで付き合うと疲れてしまうかもしれませんが、仕事上だけと割り切って付き合えば、これほど理想的な上司はいないかもしれませんよ。
アスペルガー症候群の上司の欠点
ただし、アスペルガー症候群の上司は、部下の気持ちを汲むということが苦手です。
精神的に参っているときに相談をしても理解してもらえませんし、黙っていては決して察してくれません。
肉体的に苦しいときでも精神的に疲れているときでも、自分から言い出さないかぎりわかってくれません。
「日本人なら言わなくても察してくれるはず」という考えでいると、辛い思いをすることになるでしょう。
特に、衝動的な発言が多かったり、パニックになって責め立てたり、説明をしてもなかなか理解してくれなかったり、こちらが報告したことをすぐ忘れてしまったり、明らかに自分に非があるのに決して認めなかったり、感情的になって机をドンッと大きく叩いたり・・・ということが重なると部下は疲弊してしまうでしょう。
いくら慣れていても、上司はアスペルガー症候群だと理解していても、やはりこのようなことばかりだと、精神的に参ってしまうでしょう。
そこで、あまりにも困っているようなら、更に上の上司に相談してみると良いでしょう。
上司が配置転換されるか、又は自分が違う部署へ異動することもできるでしょう。
この場合、あまりにも上司の責任について責め立てないほうが良いでしょう。
アスペルガー症候群の上司は基本的には真っ直ぐな人なので、短所はあってもパワハラ上司のように性格が悪い人間とは違いますから。
他の人に相談してもうまくいかなかった場合に限って、転職を考えてみても良いでしょう。
ただし、人間関係のトラブルはいつでもどこでも起こり得ますので、転職をする前には注意が必要です。その分野に詳しい人に情報を聞くと良いでしょう。
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