発達障害の人の中には、学生時代までは普通に過ごしてきたのに就職してからは対人関係が上手く行かなくて転職を繰り返す人ようになった人も多いでしょう。
「自分には簡単なことさえ出来ない・・・」と落ち込み、自尊心が極度に低下している人も多いといいます。
だからといって働かないわけにはいきません。
そこで考えるべきなのが、「自分の特性を活かして働ける場所はないか」ということです。
発達障害の人は、確かにコミュニケーションが苦手だったり、レジ打ちのような簡単に見える仕事さえ出来ないように見えます。
しかし、逆に普通は高度で出来ないと思えるようなことを難なくこなすことが出来る場合もあります。
たとえば、コンピュータグラフィックスやデザインをさせると、かなり緻密で繊細な絵を書き上げることができます。
ADHDでもアスペルガー症候群でもまたは合併症でも一定の分野では優れた才能を示します。
人によっては天才的な作品を仕上げることができます。
ですから、「せめて人並みの仕事を・・・」と無理をするよりは、「才能を活かして」仕事をした方が自分も楽しいですし、人のためになります。
臨機応変な対応が必要な仕事や複数の異なることを一度にこなすことが必要な仕事、チームワークが必要な仕事などは避けましょう。
接客係や受付、窓口係、営業職などはやるべきではありません。
個人プレーで才能が発揮できる仕事をしましょう。
では、具体的にはどのような仕事が良いのでしょうか。
たとえば、プログラマー、翻訳家、自動車整備士といった仕事はスペシャリストとして才能を発揮することができるでしょう。
また、漫画家やイラストレイター、作家など、アートの分野で同じ作業がずっと続く仕事も良いでしょう。
公認会計士のような業務独占資格でスペシャリストを目指すのも良いでしょう。
(同じく業務独占資格ですが、弁護士や医師はコミュニケーションを必要としますので、お勧めできません。看護師も、「察する」ことができないと患者さんに辛い思いをさせてしまうのでやるべきではないでしょう。)
私の個人的なお勧めは、特許翻訳者と特許技術者、そして弁理士です。
自分が弁理士資格を持っているからなんとなくお勧めをしているわけではなくて、内容的に発達障害の人に向いているのでお勧めしています。
いずれも特許(知的財産)に関する仕事で高給取りです。
働く場所は特許技術者と弁理士の場合は特許事務所、特許翻訳者の場合は特許事務所か自宅となります。
他にも企業内で働くことも出来るのですが、知財部の仕事などは対人スキルが必要なので除外します。
必要なスキルは、理系の知識(修士や博士だとなお良い)、またはITの知識です。
特許翻訳者の場合は、文学作品の翻訳とは異なり、産業翻訳ですしライバルは少ないので、TOEICの点数は700点程度でも仕事になります。代わりに大学レベルの理系の知識がないとできません。純粋な英語好きには向きません。
ずっと座ってパソコンとにらめっこをしているので、かなり辛い仕事ですが、のめり込むことの出来るアスペルガー症候群の人は大いに才能を発揮できる仕事です。
特許技術者は特許明細書と呼ばれる特許出願書類を書くことを仕事としています。
かなり専門的で高度な技術的知識を要します。
そのため、特許技術者はどこの特許事務所でも必要とされていて(特に機械系と電気系)、まず食いっぱぐれるということはありません。
特許翻訳者と同じようにしんどい仕事ですが、アスペルガー症候群の人には向いています。
経験を積んで優れた明細書を書くことができれば、年収1000万円を超えることもできます。
弁理士は特許技術者の上級バージョンといった感じです。
仕事内容自体は特許技術者と変わりません。しかし、業務独占資格なので、特許技術者よりも収入は高くなります。英語もできると年収3000万円に届く人もいます。
商標弁理士は年収が低いのですが(平均年収500万円)、特許明細書を書く弁理士は平均年収800万円を超えます。
ただし、「弁理士資格を持っているだけ」ではこれほどの年収はもらえません。
大事なのは「特許事務所での実務経験」です。
ですから、弁理士になるためにいきなり受験予備校に行くのは絶対にやめてください。バカ高い授業料を無駄にするだけですので。
まずは、特許事務所で職を得るのが必須です。
具体的には、特許事務所で「特許技術者」という求人枠で採用されることが必要です。
高度な仕事ですが、他の仕事に比べコミュニケーションはほとんど取る必要がありません。
代わりに、ずっとパソコンの前に座りっぱなしで頭をフル回転するので頭脳的にしんどいです。
でも、非常に知的な仕事ですし、一つのことにこだわりを持っていたり、のめり込むことができる人にはお勧めです。
障害者枠ではなく一般枠で入所出来ます。
最初は年収は300万円程度でもいいでしょう。仕事を教えてもらいながらお給料を貰えるのですからもっと低くても良いくらいです。
また、すぐに年収はアップします。
3年くらいは必死で仕事をしましょう。
数ヶ月働いて仕事に慣れたらいよいよ弁理士試験に挑戦です。
難しい試験ではありますが、やりがいがありますよ!
特許翻訳者になりたい人も、翻訳学校になんて行ってはいけません。学費が高すぎますから。
特許翻訳者になりたいなら、いきなり特許翻訳の世界に飛び込むべきです。
良い特許事務所にいけば、知識ゼロ未経験の状態から育ててもらえます。
特許技術者、特許翻訳者、いずれの仕事も需要が高く給与も高めですが、教育体制の整った
特許事務所でないと働けるレベルにまで育ててもらえません。
自分で適当に探すと、悪い特許事務所に当たってしまう可能性が高いので、お問い合わせ下さい。
年齢や職歴等をお知らせいただければマッチ度などもお伝え出来ます。
また、実際に転職に成功された方のお話を聞くこともできます。