独立開業した弁理士が自分の特許事務所を閉鎖し他の特許事務所へ就職・転職するということは割とあります。
経済的理由(思ったほど利益が出なかった)や共同経営者と仲違い等が主な理由です。

また、夫が経営している特許事務所で働いていたが自分の得意な技術分野の知識を活かすために夫の特許事務所を辞めて他の特許事務所へ転職される弁理士もいらっしゃいます。

 

自由が独立の一番の醍醐味ですが、収入の安定性を考えると再就職したほうが良い場合もあります。

また、他の特許事務所へ就職・転職したからといって完全に自由がなくなってしまうというわけではありません。
私の知人の特許事務所では、かなり自由に働かせてくれます。

 

経営や人事の不安を捨て去り自分の業務だけに集中することができるならば、所長弁理士としてではなく従業員弁理士として働くのも悪くはないでしょう。

実際、指名をしてくださるクライアントがたくさんいるにもかかわらず独立せずパートナーとして働く弁理士も大勢います。

これだけ優秀なのだから独立すれば良いのにと思ってしまいますが、経営の面倒さやリスクを考えると躊躇してしまうのでしょう。
プレーヤーとして優秀な人は、経営など面倒なことは他人にまかせて思い切り働く方が良いともいえます。

 

独立開業している弁理士が転職する際のポイント

 

特許や商標の実務経験があれば再就職はそれほど難しくありません。良い明細書を書く弁理士ならば、高年俸も望めるでしょう。

注意すべきこととして、高収入を望みすぎるとワークライフバランスを崩すという点が挙げられます。

通常、勤務弁理士が他の特許事務所へ転職する場合には、前職給与+αを保証してくれることも多いのですが、独立弁理士の場合必ずしも前年度の収入が高くないことがあります。
そのため、過度に期待しすぎず、平均的な給与額を想定すると良いと思います。(優秀な人を除く)

 

もう一つ注意すべきこととして、人間関係の良い特許事務所を選ぶということを挙げたいと思います。
転職サイトを見たり転職エージェントに勧められてなんとなく就職してしまうと、ギスギスした人間関係の中で苦しむ可能性が高いといえます。

なぜなら、「経営手腕が無いから就職してきた」というように悪口を言ったり冷笑してくる人間がいるからです。

こんなバカにされる環境で働くのは最悪です。
したがって、一緒に働くのがどんな人なのか事前にチェックしておくのが良いでしょう。

 

大好きな友人が働いている特許事務所を選ぶのも良いと思います。
以前、弁理士さんから転職のご相談を受けたときに、ちょうど私の知人の事務所で弁理士を探していたので連絡先をお伝えしたら、一緒に飲みに行って意気投合したようです。そして、事務所にも遊びに行って親睦を深め、半年後に転職を決めたとのことです。

履歴書を送って面接して・・・という堅苦しい転職の仕方ではなく、弁理士同士仲良くなって信頼関係が出来てから転職というのも良い方法です。

実力を認められればパートナー弁理士や次期所長候補にもなれますので、半独立気分で楽しく働けるのではないでしょうか。

 

なお、仲の良い弁理士の働いている事務所でちょうど人員を募集しているとは限りません。良い事務所にはポストに空きができてもすぐに埋まってしまうからです。

 

したがって、もし私にお問い合わせいただいてもポストに空きが出るまで少しお待たせする可能性もあります。
時間的余裕を持って転職をするのが転職に失敗しないコツです。