過去に大学生や大学院生から、新卒で特許事務所に入りたいという相談を受けたことがあります。

その度に私は、「そんなに急ぐことはない。人生は長いのだし一般企業に入って研究開発を経験してきてはどうか。発明者の立場から発明と触れ合う機会はプラスになる。30歳で特許事務所へ転職する人はよくいる。それから、大企業に入っておくと錯覚資産になる。社会人としてのマナーも身につく」という趣旨の話をしました。

・・・が、最近になって考えが変わってきました。

特許事務所の所長たちとお話をさせていただいたり、大学生たちと話をしていたら、新卒で大学に行っても良いのでは?という風に思うようになってきたのです。(過去にアドバイスさせていただいた方、すみません・・・)

 

理由としては、

①若さには大きなポテンシャルがある。特許事務所では特許業界未経験の場合20代の人を求めていることが多い。研究職について5〜6年働くともう30歳を超えてしまう。30代の人より研究開発経験の無い若い人が好まれるということもよくある。(特許事務所によって考え方は違います。)

②新卒で特許事務所へ行った弁理士にも優秀な人がたくさんいる。目標に向かって一直線なのでいずれ特許事務所へ行くつもりなら最初から特許事務所へ行く方が無駄がない。

③社会人としての一般的なマナーは企業でなくても学生のうちに身につけることもできる。また、クライアント対応していくうちに身につけることもできる。

④いくら新卒で大企業に入っても、研究開発や知財とは関係のない仕事をしていると経歴としてプラスに働くことが少ない。

ということが挙げられます。

特に、学生なら就職前にインターンシップを経験することも出来ます。
大きい特許事務所では積極的にインターンの受け入れをしているので特許事務所の雰囲気を味わうことが出来ます。

ただし、実際にキャリアをスタートするなら小さめの特許事務所の方が良いだろうと思います。
理由は、知財に関する色々な経験ができるからです。
知財業務の面白さを満喫したいなら、しっかりとした体制の整っている小さめの事務所の方が大きな事務所よりもお勧めです。

ただし、”小さい”といっても、”弱小”という意味ではありません。
人を育てる力のない所長弁理士が一人いるだけの事務所では息苦しさを感じるだけです。
(ただし、所長弁理士が凄く優しくて過ごしやすい事務所もあります。)

また、ホームページでは良さそうに見えても危険な特許事務所というものは存在します。
外からはキラキラして見えるけれど、実は支配的な性格の所長弁理士が毎日怒鳴り散らしていて所員のストレスが酷いというのは特許事務所あるあるです。

そうした危険な事務所に入ってしまわないように、小さな事務所の場合でもインターンとして受け入れてもらう機会を作ったほうが良いでしょう。
ホームページの綺麗さで特許事務所の良さを判断して就職するなんてナンセンスです。

最初にいわゆるブラックといわれるような特許事務所に入ってしまうと、キャリアの軌道修正が大変です。
気軽な気持ちでなんとなく就職先を決めるのではなく、小さい組織だからこそ入所前に目を見開いて特許事務所を見極めてください。

就職前に心配なことがございましたらいつでもご質問ください。