最近は受験予備校が50代以上の人に向けて「難関資格の試験講座」を売り出しているそうです。少子化で資格試験受験者数が減ったので、生徒集めのために行っているのでしょう。勉強することは良いことですのですが、かなり高額な講座が多いので安易に始める前に情報収集する必要があります。

すなわち、その資格が将来の役に立つのかということです。

単なる趣味や生涯学習として資格試験の勉強をする人もいるので、割り切って勉強するのならそれでも良いと思います。

ただ、多くの場合はキャリアアップや年収アップを目的として難関資格に挑むのですから、高いリターンの無いことに高額のお金と時間を費やすことは割けるべきでしょう。

 

では、弁理士資格は50代の人がとるだけの価値のある資格なのでしょうか。

たくさんの方々を見てきての印象ですが、「リターンは相当少ない」と言えます。

将来の可能性が広がるという意味では取る意味があります。

しかし、20〜30代の時に取る場合とは全く違います。なぜなら、50代の場合は未経験での転職が困難になるからです。

多くの場合、採用者は(公にしていませんが)応募者を年齢で区切ります。企業や特許事務所によって変わりますが、40歳を限界としているところが多いようです。40歳を超えた場合には不可能ではありませんがかなり厳しい目で見られることになります。
以外にも転職が厳しいのは以下の要件を全て満たした人です。

・高学歴
・大企業勤務
・高齢
・男性
この4つを全て満たすと50代での転職は相当厳しい目で見られることが多いようです。その理由は、企業や特許事務所のメンバーとうまくやっていけない可能性が高いと採用者が(ある種差別的に)考えているからです。

上記の4つを満たした人物はいわゆるエリートです。職場では部下に命令し威張ることが許されてきた人たちです。そんな人が転職し、違う組織に入って年下の人から教えを請うことができるでしょうか。逆に言うと、年下の人もこのような人に対し教育をするのは神経を使って疲れてしまいます。
プライドの高い人には年下から教えられるということを受け入れられないために人間関係がギクシャクし、メンバー内で腫れ物のようになってしまうのです。

ただし、温厚な性格で威張らず、女性や年下を差別しない人ならば50代でも特許事務所へ転職できる可能性があります。実際成功例もあります。(50代の場合女性の方が転職に成功する例が多めです。普段から下に見られることが多いために年下から学ぶことに抵抗が無いというのも理由の一つでしょう)

しかし、最初は非常に年収が低いので、雇う側も気を使ってしまいます。大企業勤務者が未経験者としての給与に満足できるでしょうか。採用者も鬼ばかりではありません。優秀な方には適切な年収を提示したいと考える人も多くいます。ただし、未経験者にはなかなか高額の年収を提示できないのです。

 

以上述べたように、50代の転職は、人間関係と年収との折り合いから、たとえ弁理士資格を持っていたとしても相当困難になってしまうのです。(私の知人に上記の要件を全て満たし、かつ、性格の温厚な弁理士試験合格者がいらっしゃいますが、現在の年収が高すぎるために、特許事務所への転職は止めてしまいました。)

でも、50代になってからできることは限られていますよね。自分の能力を活かして稼ぐにはどうしたら良いか・・・。

一つには人脈を辿って自分を高く買ってくれる企業へ転職するという方法があります。多くの場合には中小企業になるでしょうが、たとえば技術コンサルとして望まれることがあります。(この際、弁理士資格を持っていると知財コンサルにもなれます)

また、起業をするという方法もあります。ただし、十分な計画を立てる必要があります。よくあるのがホームページ制作会社に高い料金を払ってホームページを作ったが仕事の依頼が無いという悩みです。
自分が何をしたいのかがしっかり定まっていないうちに見切り発車するとこのようなことになります。できるだけお金はかけずに、しかし、やると決めたら必要なことにお金をかけるというメリハリが大事です。

あまり良い人脈がない、起業のリスクもとりたくないという場合には、大企業に在籍中に転職活動を行うのが良いと思います。転職エージェントによっては年齢を理由に企業紹介をしてくれないところもありますが。

 

終身雇用が崩壊し、将来が不安な40代、50代の方々はたくさんいらっしゃいます。皆、不安を抱えたまま生きています。

あなたと同じような環境、年齢の方がたからご相談を受けていますので私も何か役に立つアドバイスをできるかもしれませんが何も出来ないかもしれません。

しかし、情報提供と一緒に悩むくらいはできるので、ただ一人で悩むよりはご相談ください。