これから弁理士を目指している人には、弁理士(特許事務所)業務の将来性については非常に気になるところだと思います。また、実務家弁理士さんにとっても気になるかもしれませんね。

そこで、過去のデータを元に将来性を考察してみたいと思います。

まず、平成18年頃には弁理士試験受験者数が1万人いました。この頃をピークに毎年受験者数は減少をし続け、令和2年度には弁理士試験受験者数は3400人になりました。約5年かけて毎年約500人ずつ減っていっています。
その間、受験者数は一度も増えたことはありません。

また、弁理士試験に受かっても登録しない人も増えました。企業知財部の人気が高まり、企業で会社員として働いている場合弁理士資格は持っていても弁理士登録をしないことも多いからです。

では、なぜこれだけ弁理士資格の人気が下がってしまったのでしょうか。

その主な理由は明細書作成という仕事がAIに奪われてしまうのではないかという恐怖と特許事務所の待遇の悪さにあると思います。

 

AIへの代替性についてはまだ数十年は大丈夫だと思います。クリエイティビティが必要な仕事は容易には代替されません。

一方、待遇の悪さについては問題です。

多くの残業時間、低賃金、パワハラセクハラ、男尊女卑が根付いた文化等々一般企業では考えられないレベルの悪条件の特許事務所があると聞きます。

女性従業員にストーカー行為をして退職に追い込んだ弁理士もいるそうです。

男性も上司からパワハラを受け、心神耗弱状態に陥り心療内科に通う人もいるとか・・・。
先ほどのストーカー被害に遭った女性と同じで、泣き寝入りをするしかありません。

そして、このような被害に遭った人たちがそれでも自分たちには特許業界でのスキルしか無いからと職探しをするのですが、転職サイトを見ても載っているのはブラック特許事務所ばかり

ハローワークで紹介される求人もブラックだらけ。そして、転職エージェントにいたっては、嘘をついてブラック特許事務所に押し込めてきます。

泣きっ面に蜂とはこのことでしょう。精神を病んだ人々はとうとう特許業界を辞めてしまいます。

こんな業界なのです。弁理士試験受験者数が激減するのも納得できます。

 

では、特許業界に将来性はないのでしょうか?

そんなことはありません。

人口の少ない日本では、知財で稼ぐ必要があり、どの企業でも知財の創出に力を入れているからです。
そして、企業知財に優秀な弁理士が増えた今、特許事務所もレベルをアップする必要があり、多くの優秀人材が求められています。

また、数は非常に少ないですが、人材を大切に扱ってくれる特許事務所は確実に存在します。
そのような特許事務所で4~5年働けば、弁理士としての十分な力が付きます。

弁理士受験者数の少なくなった今、20代の弁理士は非常に貴重です。
多くの特許事務所が歓迎してくれるでしょう。

だからこそ、人を潰してしまうような特許事務所へ未経験で入所して業界に幻滅してほしくありません。

 

未経験者は、優良な特許事務所に勤務すべきです。
決して、人を物のように扱うパワハラ事務所にいってはいけません。
(ただし、”厳しい指導”とパワハラは間違い易いので、厳しい指導までパワハラと考えないようにしてください。力がつきません)
かなり暗いことも書きましたが、これが知財業界の現実です。
しかし、ブラックな仕事は他にいくらでもあります。

ということは別に知財業界だけが突出して悪いわけではありません。

逆に、良いところは非常に知的で魅力的です。
ということは、知財業界に興味のある方は企業の中で知的財産部へ異動してみるというのもありでしょう。

また、数少ない優良特許事務所で能力を磨いて一流の弁理士になりたいという希望を抱いている方は、ぜひご連絡ください。知的な労働と年収の高さが魅力のこの業界、向いている人にはたまらない魅力がありますよ。

待遇の悪さ等で業界に失望してしまった弁理士さんもご連絡ください。良い事務所なんてどこにもないんだ、年収が高いだけでまるで機械のように働いているなんて思っている方はあなたの別の能力を評価してくれる事務所で働けば良いのです。

(相談した後に結局知財業界を辞めるという手段をとられた方もいらっしゃいますが、気持ちを吐き出しておくだけでも楽になると思います)

弁理士資格があるなら将来独立することだって出来ます。
優良特許事務所で育ててもらい、実務能力を身に着けてください。
クライアントから信頼を得られる優秀な弁理士になれるはずです。

そして、あなたのような方にこの先の特許業界を背負ってほしいです。

 

メディアに記載されている情報は外面だけ良くて悪いことなんて一つも書かれていません。カンの良い人ならお気づきでしょう。良いことだけの職場なんてないのだからなにか隠しているのだろうと。

従業員たちから恨みの声を聴いてきた私にはそんな外向けのパフォーマンスはうんざりです。

 

真実を書いてしまいましたが、まだ知財業界に希望はあると思っています。

だって、目のキラキラした弁理士や弁理士志望者、特許事務さんたちにたくさん会ってきましたから。

 

彼らのような純粋な人たちをたくさん知財業界に呼び寄せて、本当に働きやすい魅力的な業界になってほしいです。