多くの特許事務所では、売り上げベースで年収が決まります。透明性があり事務所がリスクをとらなくて済むからです。
たとえば、「売り上げの33パーセント」で計算すると、年に3000万円の売り上げを出す弁理士なら年収990万円となります。

しかし、この評価制度にはデメリットもあります。

売り上げ以外が年収に反映しないからです。

たとえば、未経験者の育成や新規顧客の開拓が評価されないのはおかしいでしょう。

また、外国案件をこなす方が売り上げは上がるので結果として売り上げベースだけに基づく評価制度だと、外国案件をこなしている人だけが給与が高くなってしまいます。結果として、良い国内明細書を書く人が軽視され、優秀人材が逃げ出すということに繋がります。
したがって、私は売り上げベースだけではなく、その他の評価制度を導入すべきと考えています。

明細書をたくさん書くだけが弁理士の価値ではありません。「顧客からの信頼を得られる力」というようなことにも大きな価値があると考えます。

明細書作成マシーンの場合はたくさんの明細書を書けるので高年収ですが、自分の時間を特許事務所に捧げているだけという働き方に充実感は無いと思います。

基本給を下げてでも、明細書作成以外で特許事務所に貢献したことへの評価で自分の年収を押し上げるというアグレッシブな生き方の方がやりがいを感じられるでしょう。

 

とはいえ、評価制度改革は大変です。
特許事務所には弁理士だけでなく特許事務や特許翻訳やサーチャー等々他にもたくさんの人たちが働いていて、評価制度によっては弁理士の満足度は上がっても他の従業員の不満も上がるという事態になりかねません。

だからといってベテラン特許事務の給与と裁量を増やして好き勝手にやらせていると所内で新人いじめがはびこり居心地の悪い空気になるという可能性もあります。

 

特許事務所により様々ですが、今ではどこも売上高連動性の場合は36パーセントくらいはもらえます。

これより低いとかなり見劣りがするので転職を考えても良いと思います。もちろん人間関係や働きやすさ等他の事項もきちんと考慮に入れてください。

(ただし、福利厚生としておやつ食べ放題などはかなりどうでも良いでしょう。)

 

40パーセント以上の支払いをしてくれるところも珍しくありません。

ただし、人が来ないので高額報酬を売りにしているだけでかなり酷い労働環境ということはあり得ます。

心を殺して働けるという人には良いかと思いますが、ワークライフバランスも重視したいという人は、還元率の高さだけを見ないで所長との相性なども考慮してください。

 

なお、転職の際には前職給与保証をしてもらって固定給での支払いを受けると、ノルマに追われる働き方からは開放されます。その他転職の際に交渉すべきことなどは個人によって違いますから相談相手が必要な場合にはご相談ください。