定義については諸説ありますが、大まかに言うと、メーカー知財部の仕事は、知的財産を発掘・権利化し、自社製品の知的財産権を守ることです。

それにより市場におけるシェアを伸ばすことにつながり、ひいては会社の利益の柱を建てることになるので、責任が重大な仕事です。

メーカーではなく、サービスがメインの事業を行っている会社の場合でも発明の権利化は知財部にとって重要な仕事です。

 

また、いずれの会社にとっても、他社特許の監視、知的財産権の維持・活用、ポートフォリオ解析と最適化は非常に重要な仕事です。

知的財産権を得るということは、つまり、発明や商標、デザインといった知的財産の権利化を図り、特許権・商標権・意匠権といった知的財産権を取得するということが仕事の中心になるということです。

 

そのためには、先願主義の下、短時間のうちに発明者から送られてきた発明の骨子を組み立てなければいけませんし、同時に競合他社の特許発明・出願中の発明や意匠などに目を光らせていなくてはいけませんし、自社の知的財産権を侵害する者に対しては警告、場合によっては訴訟提起なども検討しなくてはいけません。

明細書に関しては、知財部で内製することもありますし、特許事務所に依頼することもあります。大企業だからとか中小企業だからという理由で変わるわけではなく、企業の特許戦略によって変わります。

 

また、自社の発明者を特許事務所の弁理士に合わせて自分も含め3人がかりで発明を明細書に落とし込むという方法を取るところもあれば、知財部員が特許請求の範囲も発明の詳細な説明も全て大枠を決め、細かいところだけ特許事務所に外注するという方法を取るところもあります。

 

ついでにいうと、先行技術調査についても、外部のサーチャーに任せているところもあれば、自社で行っているところもあります。

 

特許出願をしたら終わりではなく、出願後3年以内に審査請求をするかどうかを決めなければいけません。権利化するには権利範囲を狭める必要が出てくるでしょうし、権利範囲を狭めるならそもそも権利化する意味がなくなることから審査請求を見送る決定をすることもあるでしょう。審査請求をした後は拒絶理由通知が来ることが通常なので、他の仕事と並行して中間処理をすることになります。

 

補正だけでなく、特許後には訂正請求訂正審判をする必要に迫られることもあります。

 

発明者がどんなに素晴らしい発明をしても、知財部がその発明をしっかりと知的財産権化しなければ会社は発明から利益を享受することはできません。

 

 

このように、知財部の仕事は、研究開発部のような技術部門や弁理士、経営陣といった様々な立場にいる人々とコミュニケーションを取りながら知的財産を産み、守ることです。

 

激務のイメージがありますが、同時並行して要領よく複数の仕事をこなしていける人ならそれほど時間に追われることはないでしょう。(また、企業によってはマルチタスクを求めません)

新しい発明から新しい製品が生まれる過程をサポート出来るということは大きなやりがいとなりますよ。

 

また、特許権や商標権、意匠権のライセンスも知的財産権の活用という点では会社に大きな利益をもたらしてくれます。ライセンス面で活躍する知財部員もかっこいいですよね。

どんな人がむいているの?

20年ほど前には知財部は窓際族の印象が強かったのですが、最近は大企業知財部に新卒で入社する人が増えてきました。

 

転職で知財部へ行く場合は、未経験では辛いものがありますが、研究開発経験者は有利でしょう。

特許事務所とは違って、技術を知らない法務部門出身者にも門戸が開かれています。

 

外国出願をする機会も増えていることから、英語力があることも重要です。ただし、英語力だけが一番の売りという場合には知財部の職を得ることは難しいでしょう。

 

異業種から転職する場合には、知的財産権に関する知識を有していることの証明として知的財産管理技能検定の2級程度を受けておくと良いかもしれません。

 

1級はかなり難しいので知財部に入ってから受験することをお勧めしますが、2級なら未経験の人でもとれるでしょう。(1級をとるくらいなら弁理士試験を受けたほうが良いでしょう。弁理士は業務独占資格ですが知的財産管理技能士検定は単なる名称独占資格ですから)

 

私も未経験の人たちに知財の勉強を教えていますが、みなさん2級は簡単に取得されていますよ。

 

興味のある方は知財の知識をご覧ください。

面接のときに、知的財産管理技能検定2級に受かっていることをアピールすれば、採用に有利に働くのではないでしょうか。

知財業界での転職を考えている方は私にお問い合わせくださっても構いません。

知財部員と面談の場を提供することが出来ます。お気軽にご連絡ください。