管理職になると管理職手当がつくことから、給料が高くなります。
また、他者への影響力も増します。

そのため、管理職になりたいと考える人は多くいます。(名ばかり管理職を除く)

 

しかし、給料が良いということは責任も増すということであり、単純に待遇や給与に惹かれて管理職になると苦労することになります。

 

そこで、これから管理職になる予定の人、または管理職というポジションで他社へ転職しようと考えている人に向けていくつかの注意点を説明したいと思います。

高い給与に注意

求人を見ていると管理職として入社すると高い給与が支払われることがわかります。

すると、「こんなにもらえるのか!」とやる気が出てくることでしょう。

 

しかし、給与が高いということは、それに比例して仕事量も責任も増すということです。

一般職なら定時退社出来ても、管理職の場合は仕事開始前または仕事後に別の仕事が残っていることが通常です。

 

たとえば、知財部で管理職をしている場合は、知財部としての仕事に加え、管理職としての業務も行わなくてはいけません。

会議へも出席しなくてはいけません。

週休2日は取れないことが多いでしょう。

 

ということは、家族との時間も少なくなってしまうということです。

子供の学校のイベントに行けないということも多いでしょう。

 

管理職とストレス

また、精神的なストレスも大きいために、肉体的にも不調を感じる人も多くいます。

単なる肩こりだと思っていたのに、やけに右肩が痛くなり、その痛みが慢性的になってしまい、結局ストレスからくる内臓疾患だったという方もいます。

 

特に、経営者と一般職の間に挟まれて感じる人間関係のストレスは相当なものです。

 

経営者の考えをどのように部下に伝えれば良いのか、また、部下の考えをどのように経営者に伝えれば良いのか、上の人と下の人のことを考えるあまり、苦しくなってしまいます。

 

管理職としての在り方

更に言うと、責任感のある人でないと部下がついてこないため、不利益を全て自分が引き受けるくらいの気持ちでいないとやっていけません。

ということは、口で言うのは簡単ですが、かなり難しいことです。

 

部下が失敗したらそれを自分の責任とし、自分が成功したら、部下の手柄にする、そんなことなかなか出来ませんよね。

でも、そこまでしないとなかなか部下はついてきません。

 

口で「勉強しろ」と言っても人子供は勉強しないのと同じように、部下に対しても「勉強しろ」「もっと◯◯しろ」と言っても素直に聞くわけがありません。

 

しかし、管理職自らが人間として尊敬できる行動をしていると、必然的に部下は管理職の言うことを聞くようになります。

手柄を独り占めせずに部下の手柄にしたり、部下の失敗を自分のせいにしてくれる人なんてかっこよすぎですよね。

 

たとえ、心の中で「自分の手柄にしたい」と思っていても、そこを堪えて美味しいところは全部部下に与えて自分は痛みを引き受けていけば、その行動は人に感動を与えます。

 

そして、そんな人は少ない、むしろ逆に部下の手柄を自分のものとし、何か問題が起きたら部下のせいにするような管理職の方が多いことから、部下の尊敬を勝ち取ることができます。

 

これにプラスして、「部下の良いところを見るようにする」「部下の優越感を刺激する」といったことをしていけば、自然に信頼を得られ、結果として「優秀な管理職」と評価されるようになります。

 

決して自分の考えやスキルを押し付けてはいけません。
強制されると人は反発したくなるという心理を持っていますから。

 

もちろん、ただでさえ忙しいのに部下にまでこんな気を使っていられないと考える人もいるでしょう。

 

しかし、「部下が働きやすい職場を作る」「部下を生き生きと働かせる」ということも管理職の仕事です。

部下の「自己重要感」を満たし、主体的に行動したくなる場を提供することが出来れば、全てが上手く回り始めます。

 

もちろんこのような状況にすることはかなり難しいことです。

一般職で個人のスキルを高めることだけを考えていた人にとっては全く違うスキルを伸ばすことになるので戸惑うことも多いでしょう。

 

しかし、それだけにやりがいがあるといえます。

 

傾聴スキル(相手に共感し、よく話を聞くスキル)を身につけ、部下の良いところも見つけていけば、結果として部下はあなたのいうことを聞いてくれるようになります。

 

強制して何かをさせるのではなく、部下自らがあなたの話を聞こうとするのです。

部下から信頼してもらえれば、管理職としての仕事はやりやすくなります。

信頼されている人は「影響力」も高いことから、結果として経営者から一目置かれる存在となります。

 

ここで、影響力を発揮するには、直接的に部の売上を上げるといったように目に見えた改善を行うことも効果的です。

もちろん部によっては難しいでしょう。

たとえば、営業部ならたくさんの仕事を受注してくれば良いわけですが、知財部では直接売上アップに繋がる仕事というものが存在しません。

 

したがって、知財部では、多部署よりも、より「部下のやる気を出し、部下から信頼してもらえる管理職になる」ということが重要になります。

 

まとめ

管理職として働く場合は通常の業務に加え管理職ならではの仕事も増えることから、仕事量も拘束時間も長くなり、激務になりがちです。

 

しかし、たとえ激務でもそのストレスを部下相手に発散させることはせず、逆に、部下のストレスを自分が引き受けるくらいの気概を持ちましょう。

すると、強制せずとも人は付いてきます。

 

今の職場で管理職への昇進を考えている方、転職として管理職として迎えてもらおうと考えている方、双方共に、管理職の在り方について上述したようなことを意識していただければ、たとえ仕事量は多くとも、立派に管理職としての仕事をこなせるでしょう。

 

なお、知財業界での転職に関して相談する場合には弁理士である我々が助言できますのでお問い合わせ下さい。