弁理士や特許事務、特許技術者等特許事務所で働く人たちが同業他社への転職を考えることがあります。
その場合、なんとなく転職エージェントに登録したり求人サイトを見て載っている求人に応募するという方法を採る人が多いようです。
そして、なんとなく書類を送り、なんとなく面接し、完全には納得しないまま移籍を決めてしまいます。

これは、かなりリスキーな行為です。
なぜなら、納得行くまで質問するということの重要性を軽視しているからです。
自分の人生なのだから自分が納得しなくては転職なんてすべきではありません。「なんとなく」流されていると後悔します。
もちろん、給与や待遇については質問しにくいので、転職エージェントを利用している場合には最大限に利用すべきです。これが転職エージェントを利用する最大のメリットです。特に気弱な人には助かります。

給与でも残業時間でも待遇でも人間関係でも全て自分が納得いくまで質問すべきです。
お金の話はしづらい、とか、人間関係の良さをどう計測すれば良いのかわからないという悩みはあるでしょう。
しかし、いくつかの指標があるので、それに沿って測ってみれば良いだけです。

特許業界で転職経験が多いこの道20年の方にお話を聞いたことがあるのですが、その方曰く、「嘘つきな所長や業者の言う”良い”は”組織にとって都合が良い”のであって、転職者にとって”良い”のではない。3回転職に失敗してようやく気づいた。特に”人間関係が良い”というのは主観的なので、業者の言葉を信じてはいけない。信じて騙された。自分の目で見て判断しなければいけない。騙した人は責任をとってくれない。どんなに忙しくても自分の頭で考えないといけない」と仰っていました。

正にこのとおりで、その事務所で働いてもいない業者の言う”人間関係が良い”という言葉を信じたらおしまいです。また、特許事務所トップの言う言葉も完全には信じられないでしょう。だって、所長目線からの良さと従業員目線の良さは対立していますから。

 

この方は非常に頭の良い方で、ご自身で分析されて自分なりの転職の指標を設けられていらっしゃいました。
受け売りなのですが、「違和感を覚えたら求人票にどんなに魅力的な言葉が踊っていても行かない」のが良いのだそうです。

この違和感とは、直感ともいえるものなので言語化しにくいのですが、たとえば、質問をはぐらかそうとしてくる。質問への答えのポイントがズレている。などが挙げられます。

質問に対してはっきり答えたら来てくれないと思っているからこそ真正面から答えようとしないわけです。
ですから、このようなときは言葉を変え、同じ質問をしてみるのが良いでしょう。
それでも納得行く答えをいただけなかったら転職はやめておくのが吉です。何か隠し事があるわけですから。

 

コンサルをしているような人は話も上手いですしつい惹き込まれそうになりますが、経営者や上長がプレゼン上手でも下で働く人間にメリットはないのですから「上司の話が上手い」は指標にすべきではありません

話が上手い人は誤魔化すことも上手いので丸め込まれてしまう恐れがあります。それよりは、話下手でも穏やかな感じの人が良いでしょう。この食うか食われるかの競争社会で穏やかでいられる人は少数派ですが、稀にそういう所長はいらっしゃいます。「人格者に見える人」ではなく「人格者」がいるのです。表面的には同じに見えるので本物と偽物を見極めるのは困難です。サイコパスほど自分を魅力的に見せるのが上手です。その意味では「オーラを持っている人を避ける」のは良いのかもしれません。

まあ、そこまで素晴らしい人が経営している特許事務所ではなくても、従業員がビクビクせず楽しく働いている特許事務所ならあなたも楽しく働けるでしょう。

そんな特許事務所で幸せに働いてください。
繰り返しになりますが、転職時には「自分が納得するまで質問する」「違和感を覚えたら転職しない」ということを心がけてください。
さて、良い特許事務所を見分ける指標についてですが・・・長くなりそうなので一旦この辺りで筆を置きます。
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