現代日本では、「上司」という言葉には悪いイメージを抱えている人が多いようです。

 

匿名掲示板では、上司に関する投稿には「頭おかしい、嘘つき、くず、うざい、むかつく、臭い、気持ち悪いetc…」とかなりネガティブな言葉が見受けられます。

 

実際、口うるさい上司の説教を長々と聞かせられたり、

気分屋で理不尽な上司に振り回されたり、

高圧的で上から目線の性格の悪い上司に暴言をはかれたりいじめられたり、

偉そうにしているわりには無能な上司の尻拭いをさせられたり・・・

 

といった経験をして苦しんでいる人は大勢いることでしょう。

 

最近は、パワハラ・モラハラ被害に遭った方が声をあげることも増えてきたのでパワハラ・モラハラに関しては社会の関心が集まってきたとはいえますが、パワハラもモラハラも今なお日本中にはびこっています。

会社の規模に関係なくパワハラやモラハラはどこでも起こり得ます。

 

あなた自身も今現在上司からのパワハラやセクハラに悩んでいらっしゃるかもしれません。

 

そんな方のために、「上司からパワハラ(モラハラ・セクハラ)を受けたときに取るべき措置」について書いてみたいと思います。

 

上司からパワハラを受けた場合にすべきこと

1.本当に「パワハラ」か確認

 

まず、「パワハラ」とは何かを正しく知っておく必要があります。
パワハラでないのにパワハラだ!と主張しても意味が無いからです。

 

パワハラとは、パワーハラスメントの略で、同じ職場で働く者に対して、「業務の適正な範囲」を超えて、精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させる行為をいいます。

「業務の適正な範囲」であるかどうかが重要になるため、たとえば上司が部下に対して大量の仕事を与えたり、叱った場合でも「適正な範囲」と判断されればパワハラに該当しません。

モラハラ(モラルハラスメント)は「精神的な嫌がらせ」であり「いじめ」ともいえます。

たとえば、人格や尊厳を傷つけるような言葉を発するような精神的な暴力や虐待はモラハラとなります。パワハラのように力任せに叱責したり、殴ったりという行為ではないため、加害者がイジメをしている認識がないことも多いのです。

 

さて、「自分はパワハラやモラハラを受けているか」という点について確認できたでしょうか。

 

たとえば、髪や腕を引っ張るといった物理的な暴力だけでなく「バカ」「死ね」といった暴言、無視、仕事を教えてくれない、といったこともパワハラに該当します。

 

一方、皆と同じだけの仕事量を与えられているのに自分の能力の低さを棚に上げて「多すぎる」と言ってもそれは甘えであり、パワハラではありません。

 

2.パワハラ被害を記録する

 

上記の定義通り、パワハラを受けているといえるのなら、行動に移します。

 

まずは、記録に取ることをお勧めします。

 

たとえば、ボイスレコーダーで上司からの罵倒を録音します。一度だけでは証拠になりませんから複数回録音する必要があります。

このようなボールペン型のボイスレコーダーも売っていますので自然に触れやすいでしょう。

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また、日記に書いておくことも効果的です。後に裁判の場で正式な証拠となるように嘘は書かないようにします。

 

家族に相談しておくのも良いでしょう。配偶者や親兄弟は心の支えになってくれますし、恥ずかしがらずにぜひ相談するべきです。

家族へ宛てたメールも後に証拠となる場合があるので保存しておくと良いでしょう。

 

3.相談する

 

①会社や労働組合の窓口に相談

 

言い辛いでしょうが、会社又は労働組合の窓口に相談してみましょう。

 

会社には使用者責任(民法715条)があるので、従業員であるあなたを守る義務があります。
また、あなたが快適な環境で働けない場合、会社は債務不履行責任(民法415条)を追うことになります。

 

・・・ただし、残念なことにこれらの義務を無視している会社が多いのが現状です。

 

組織全体にパワハラ体質が染み込んでいる場合、会社に相談しても逆に自分の立場が危うくなったり、埒が明かないということはあるかもしれません。

 

某大企業のようにとりあえず相談窓口はあってもそこが機能していなくて過労自殺者を出しているところもありますから、会社内で相談してもうまくいかない可能性の方が高いでしょう。

 

面倒ですが、過去の相談事例を調べて「本当に相談に乗ってくれるか」ということが確認できてからでないと無駄足になります。

 

また、会社の顧問弁護士も会社寄りですので相談してはいけません。

 

なお、たとえパワハラ上司が存在していたとしても、法律の規定により、会社としては人をやめさせることも降格させることも難しいので過度に期待はしないようにしてください。

 

②会社がある場所の労働局または労働基準監督署に相談

 

既にパワハラにより鬱になったり退職している人が出ている、自殺する可能性があるといった場合には労働局や労働基準監督署に相談してください。

 

ただし、労働局は実際に自殺者がでているというように事件性が無い限り、会社に対し「パワハラをやめなさい」と注意するだけにとどまります。

 

恐ろしいのは、労働局または労働基準監督署にチクったなということでイジメが悪化する可能性がある点です。

 

③会社上層部に報告

上層部に報告し、上手く行けばパワハラ上司を異動することができます。

しかし、上司がその上層部の人と仲が良かった場合、有耶無耶にされてしまう可能性があるので、誰に報告するかよく考えてから行ってください。
報告する相手を間違えると②と同じようにパワハラが悪化します・・・。

 

④弁護士に相談

 

すぐに訴訟は起こさないとしても後のために弁護士に相談すると良いでしょう。

 

なお、もしパワハラ訴訟を起こしたとしても損害賠償金は50万円程度と低廉です。
弁護士費用支払いのことを考えると得られる金額はほぼゼロです。
4.転職活動

 

上司を飛ばすにせよ、降格させるにせよ、こちらが会社に何か言う、外部の機関に相談するということは「会社に楯突いている」と捉えられる可能性があります。

 

すると、たとえその上司とは離れることができても、自分まで左遷させられる可能性があります。

 

したがって、パワハラに対して何か行動を起こす際には、その組織から離れる覚悟をしておきましょう。
会社から厄介者の烙印を押される前に転職できるように転職先を確保しておきます。

5.転職後に訴訟

訴訟を起こすなら転職後です。転職直後は忙しいですから、少し時間が経ってから訴訟を起こしましょう。といってもあまり時間が経ちすぎると時効になってしまいますから2年以内には訴訟を提起するようにしましょう。

前の会社に対しても残業代を請求できるかもしれません。

 

これらのことを全て弁護士に相談すると相談費用だけで膨大な金額がかかってしまいます。

そのため、同種の被害者がいたら連帯して集団訴訟をするのも効果的です。

 

嫌いな上司に復讐する方法

さて、パワハラ被害を受けた場合にすべきことについて述べてきましたが、ここからは「大嫌いな上司に復讐する方法」についてお話しましょう。

 

なんだか物騒な話に聞こえますが、実は、上述した行為の中に既に「復讐」は含まれています。

 

たとえば、わかりやすいのが「訴訟提起」ですね。

 

でも、他の行為も復讐につながっています。

 

たとえば、会社の上層部に報告することにより「上司を降格させる」、「別の部署へ飛ばす」、「辞めさせる」ということは復讐に該当するでしょう。

 

また、あなたが転職することも上司にダメージを与える手段になります。

なぜなら、「上司に魅力がないために部下は転職した」と評価された場合、上司の評価は下がるからです。

 

退職理由として「上司のパワハラ」を匂わせておけば良いでしょう。

 

なお、非常に時間はかかりますが、服従したふりをして最後に反旗を翻すという方法も復讐方法としては効果的です。

ただし、あまりにも時間がかかりすぎるので、反旗を翻す前にこちらの心が折れてしまうのでお勧めできません。

 

注意事項

「復讐」するということは力の行使なのでしっぺ返しが来る可能性は避けられません。

 

ですから、「チクったらイジメ返される」可能性があるということは忘れず、攻撃する前には同じ被害にあっている仲間を作ったり、会社とは関係のない弁護士を味方に付けておくべきです。

 

また、会社によってはあなたに非はなくともあなたに不利益を与える会社もあります。そのような会社にいても辛いだけですので、告発するということは、自身の退職も視野に入れておくべきでしょう。

なお、転職に関してですが、知財業界限定ですが、リアルな情報をお渡しすることができますのでお問い合わせください。
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