弁理士の福田です。今回は商標の実務経験を積んだ商標技術者や商標弁理士が年収を上げる方法について提案し、その有効性について検討していきます。
星の数はおすすめ度を示しています。

 

1.弁理士試験に合格★★★★★

まだ弁理士試験に合格されていない商標技術者の方は、まずは弁理士試験に合格してください。年収を上げるには最も確実な方法です。(弁理士手当として年収50〜100万程度アップ)
近年は短答試験の難易度が上がっていることから、短答試験に合格するだけでもアドバンテージとなります。

 

2.独立★★☆☆☆

実務経験を積んだ商標弁理士にならできる方法です。
ただし、特許事務所経営をするには商標実務だけではなく別の能力(営業、事務、経理、etc…)も必要なのでよくよく考えてみてください。
また、一人で独立はすべきではありません。最低でも二人以上で共同経営したほうが良いです。
万が一のときにお客様に不利益を与えないためです。自分の利益のことよりも、ご自身の身になにかあったときにお客様に多大な迷惑をかけてしまう危険性を考えてください。これをどうでも良いと考える方は無責任ですので独立すべきではありません。
仕事はお金を儲けるためだけにすることではありません。

もしご自身がお客様の立場でしたらどのような弁理士に依頼しますか?個人零細事務所で特許と商標をかけもちしている弁理士でしょうか。それともある程度の数の弁理士がいる特許事務所に所属している商標専門弁理士でしょうか。
自称どんなに優秀な弁理士でも、弁理士一人だけの事務所よりは「責任感のある弁理士たちが複数所属している」特許事務所のほうが良いと思います。

 

3.特許とのかけもち★☆☆☆☆

特許明細書も書いて商標の仕事もして・・・。
これをすると年収は上がります。特許弁理士のほうが年収が高いのだから当たり前です。
だからこそ、かけもちをしてはいけません。専門性を突き詰めるべきです。
どんどん新しい判例が出てくるのにそれにキャッチアップできなくなってしまう危険性があります。
私もよくブログで最新判例について書いていますが、優秀な弁理士さんたちは皆さん最新判例についてご存知ですね。こんな新しい判例をしっかり勉強されているのだなといつも尊敬しています。

どうしても特許明細書を書きたいならば商標の仕事は捨ててしまっても良いかもしれません。

特許、商標、どちらも中途半端になってしまうと最悪です。自分のことを便利屋と卑下する「なんでも弁理士」になってしまいます。
商標をやると決めたら商標をとことん学んでください。かけもちをしていいのは商標と意匠だけです。

判例勉強会などに出席すると、国内だけでなく海外の事例についても熱心に勉強されている先生方によくお会いします。
プロフェッショナルとして魅力的だなあと思います。

特許弁理士が片手間にした商標の仕事がお客様に不利益を与えているということは、過去のデータが示しています。
商標の仕事は誇りを持ってできる立派な仕事です。自信を持ってください。

(但し下に書いているように人間関係を最優先すべきですので、この働き方は絶対に駄目というわけではありません)

 

4.転職★★★★☆

実力に見合った給与や待遇を得ていない場合、転職を考えても良いと思います。
たとえば、個人・零細事務所や格安商標事務所は残業が多い、又は年収が低いので、中堅規模〜大手特許事務所への転職をすると良いでしょう。

ただし、規模が大きければ良い事務所とは言えないのでお気をつけて!!
多くの人がエイヤっで転職して失敗しています。
あとは転職エージェントに勧められ、断りきれずに転職して大失敗とか・・・。この辺りの失敗体験談は身近な弁理士に話を聞くと「実は自分も・・・」という例がゴロゴロ聞けると思います。なんて狭い知財業界!

今の事務所の年収や待遇に不満がある人は、高品質高価格の特許事務所へ転職するのが良いと思います。
そして、何より所長弁理士や一緒に働く人達の人格が素晴らしいことを最優先してください。
人間関係の良さは仕事の大きなモチベーションとなります。

良い事務所は報酬も高いので、下手に独立するより半独立的に仕事を楽しめます。

 

5.語学の勉強をする★★☆☆☆

外国案件の仕事が多い特許事務所では、英語や中国語ができると重宝されます。

ただ、TOEIC900超えの商標弁理士は珍しくないのであまり差別化になりません。

語学を学ぶなら中国語のほうが高年俸で転職できます。まだまだ中国語が得意な弁理士は少ないですから。

 

弁理士には勉強家の方が多いので勉強の必要性を私が言う必要もないと思います。

即効性は無いので、今すぐ年収を上げるのなら転職した方がずっと楽です。

 

その他にも商標弁理士が年収を上げる方法についてはいろいろ考えられます。弁護士になるとか。
情報が必要な方はどうぞお問い合わせください。
もちろん私も弁理士で守秘義務がございますのでご安心ください。

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