私は弁理士や特許技術者の方からよく転職相談を受けるのですが、特許事務の方からも相談を受けることがあります。
特許事務をしている方々は常識人であることが多く、破天荒な弁理士に振り回されている。耐えられないという愚痴を聞くこともあります。

実際、弁理士の中にはコミュニケーションが絶望的に下手で、わざわざ人を怒らせるような発言をしてしまう人もいます。また、他人から冷たい目で見られているのに平気で年収自慢をしてしまったり男尊女卑発言をしてしまう人もいるので、特許事務さんたちの苦悩は手にとるようにわかります。

 

さて、そんな(外国)特許事務さんたちの年収は弁理士に比べると低廉です。一般事務よりは高額ですが、それでも年収400〜450万円といったところでしょう。
特許事務で年収500万円というのは残業が多目の場合に達成できる数値なのかなと思います。
以前はもっと高額の報酬を得ていた方もいるようですが、アフターコロナではなかなか厳しいようです。

勤続年数が長くなっても年収はそれほど上がらないので、特許事務経験が10年以上ある人でも年収は400〜450万円の範囲内であることが多いようです。
すると、「年収を上げるためには弁理士資格をとるしかない」と考える特許事務さんたちが現れます。

 

しかし、この考えは間違いです。
弁理士資格をとっても特許事務の年収はあがりません。弁理士登録料と会費を払ってもらえるくらいです。

では、なぜ弁理士になっても年収が上がらないのでしょうか。

それは、「弁理士は特許技術者の上位職種であるが、特許事務の上位職種ではない」からです。

特許技術者の仕事と弁理士の仕事内容は同じです。特許技術者が弁理士になれば自分の名前で仕事が出来るようになるので、年収アップが望めます。

しかし、特許事務の仕事内容と弁理士の仕事内容は異なります。

そのため、特許事務が弁理士になっても仕事内容が変わらないために年収も変わらないのです。

もし弁理士になった特許事務が明細書を書くことになったら、未経験の明細書書きになるので年収減の可能性すらあります。

実際、特許事務から弁理士になった人たちはそれほど恩恵を受けていないようです。

私はこの話を転職相談をしてきた特許事務さんにお話しました。
彼女が勤務している特許事務所でも特許事務から弁理士になった人がいて、その人たちの年収は変わっていないようなので、素直に私の話を信じてくれました。そして、弁理士試験受験を止めるとおっしゃっていました。

やみくもに勉強すれば報われるかというとそうではないのが難しいところです。
少なくとも特許事務が弁理士になっても勉強のために失うものと得られるものを天秤にかけた場合、前者のほうが大きいと思われます。

じゃあ弁理士なんて意味がないのかというとそうではなく名称独占資格として活用するなど様々な活用法はあります。
それには自分で自分をプロデュースする力が必要なので非常に大変なのですがやりがいはあります。

でも、個人事業主や会社経営者として面白い仕事をしていきたいというわけではなく、給与を高めたいというのだったらコスパの悪い行為でしょう。

 

人間関係に悩まされずに気分良く働きたい人は、一般企業で働いたほうが良いと思います。しかし、特許事務は一般事務よりも年収が高いために魅力があると思います。
そこで折衷案として、「常識人の多い特許事務所で働く」のが良いと思います。

じゃあ、どの特許事務所が常識人の多い優良特許事務所なんだと言われたら悩んでしまいますが、少なくとも私と仲が良い弁理士の働いている特許事務所はアットホームすぎず適度にドライで大人な人付き合いが出来る人たちが多いと感じています。
こういう特許事務所が増えたら特許業界ももっと人気が出るのになーと思っています。

 

もしあなたも特許業界で働かれていて弁理士の悪口を言いたい場合相談したいことがある場合にはいつでもご相談ください。
人生を好転させるきっかけを得られるかもしれません。