商品の形状は、通常意匠権として保護されます。
しかし、ごく例外的に、商標権の登録が認められるものもあります。
その要件はとても厳しいものですが、意匠権と比べて商標権の権利は半永久的に続くのでとても効果的です。
コーラの瓶の形状やヤクルトの容器、ケンタッキーのカーネル・サンダース人形は立体商標(商標法2条1項)として商標登録を受けていますよ。
特許庁の審査では、需要者が見た場合に、権利取得を希望する商品が、指定商品等の形状そのものの範囲を出ないと認識するにすぎないと思われる形状のみからなる立体商標は、商標登録されません。
また、その機能を確保できる代替的な形状が他に存在するか否かも重要な要素です。
商品又は包装の形状を代替的な立体的形状とした場合でも、同じ程度の費用で生産できるものであるか否かがポイントとなります。
商標登録の要件
第三条 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。
三 その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。第二十六条第一項第二号及び第三号において同じ。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
商標登録を受けられない商標
4条1項18号 商品等(商品若しくは商品の包装又は役務をいう。第二十六条第一項第五号において同じ。)が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標
たとえば、「ひよこ」という「和菓子」がありますよね。
あのひよこの立体的形状は以前は「使用による識別力」(商標法3条2項)を得たことから、一度登録されたのですが、結局無効審判を請求され無効になってしまいました(商標法46条)。
本田技研の「スーパーカブ」の立体商標も、拒絶査定不服審判(商標法44条)を請求し、世界中で販売されていることなどを主張した末、どうにか登録を受けられたものですが、無効になる可能性もあります。
そんな強力な権利を一私人に独占させると産業の発達の阻害になってしまいます。
本来は、商品の形状等は、意匠権で保護されるべきものなのです。
たとえば、ペコちゃん人形を作って販売したらどうなるの?
立体商標はあくまでも商標なので、「商標として使用」されない限り商標権の侵害だとは言えません。
指定商品「洋菓子」についてペコちゃん人形を使用したら、ペコちゃんの立体商標の侵害になるでしょう。
特に、最近は要件が緩和されてきているように見えます。
一つの商品を知的財産権で多面的に保護するためにも立体商標の存在は頭の片隅に置いておいてください