商標を出願すると決めたら、まず最初にやるべきことがあります。

それをしないでいきなり出願してしまうと大変なことになります。

これは、特許出願の場合も同じです。

あいぴー
商標登録出願って自分でもできるん?
ふっくん
できますよ。指定商品・役務は決まっていますか?
あいぴー
何やのそれ?
ふっくん
商標(文字や記号や図形やロゴマークの他、絵と文字の結合したものや立体商標などもあります)はそれだけでは登録されません。

”何に”使用するか決めて出願しなくてはいけません。

たとえば、商標が”あいぴー”で、「シャープペンシル」について商標を取りたいと考えたら、第16類の「文房具」について商品を指定して出願します。

化粧品についても”あいぴー”の商標を取りたいと思ったら、第3類も指定します。

あいぴー
いろいろ使いたいから全部指定してもええ?
ふっくん
多く指定すればその分、特許庁へ支払う料金も高くなりますよ
あいぴー
なんや、お金取るんかいな
ふっくん
無駄に審査官の仕事を増やさないでください。それに、商標は使用しなければ価値がないので、不使用のまま放置していると、不使用商標取り消し審判で取り消されてしまうこともありますよ。
あいぴー
業務に関わる商標だけ取れってことやな。でも、”あいぴー”を違う分野で使われたら嫌や
ふっくん
そんなに気にする必要はありませんよ。たとえば、”あさひ”という商標はビールにも新聞にも放送局にも使われていますが混乱せず共存しているでしょう?
あいぴー
そう言われればそうやな。指定商品やサービスが違うだけで全然違う商標みたいやな
ふっくん
あさひくらい著名な商標でも共存できているんですから突き抜けた商品やサービスを提供してブランドを確立すれば、他の分野の商標なんて気にすることないですよ。それよりも商標登録出願について話を進めましょう。

出願にあたってすることは次の4点だけです。

ふっくん
①先行商標調査をする 

②特許庁へ出願する 

③特許庁で審査され、拒絶理由通知がきたらそれに対し対応する 

④特許庁で許可されたら登録料を支払う

あいぴー
簡単やな!うちでもできそうや。

・・・先行商標調査ってどうやるん?

ふっくん
有料のデータベースがありますが、J-PlatPatで無料で調べられますよ。

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage

ふっくん
類似する商標が先に登録されていれば、登録することはできません。

商標の類比は①外観(見た目)②称呼(呼び名)③観念(意味)の3つの要素から判断します。

類似している商標がなかったら出願できます。

ふっくん
特許庁の審査実務においては指定商品の分野によっては緩く解釈してくれますし、厳しく判断されることもあります。

この判断は非常に微妙なので、自己判断で大丈夫だと思っても拒絶理由通知が来ることもあります。

この点、経験豊富な弁理士に頼めば、的確な出願をしてくれますよ。でもお金もかかりますのでそこら辺はお財布と相談してください。

あいぴー
商標登録にはどれくらいお金がかかるん?
ふっくん
特許庁に支払うのは、出願時の印紙代(3400円+(区分数8,600円)と登録時の印紙代(区分数×37600円)です。(2016年1月現在。4月からは登録時の印紙代は区分数×28200円に減額)

弁理士にお願いする場合は、これに加えて弁理士への支払いも必要になります。

ふっくん
ここで注意したいのが、”安さ”をうたっている特許事務所です。確かに安いのは魅力的ですが、何が安いのかしっかり見極めてください。

たとえば、先行調査費用について、単価が商標ごとになっていた場合、”あいぴー”についてだけでなく、念の為一緒に出願しようとおもっている”(イラスト付)あいぴー”や”あいぴーぴー”についてもそれぞれ調査費用を払わなくてはいけません。

また、調査が区分ごとの場合、10区分について調べると、10倍も余計に料金がかかってしまいます。

商標登録出願の素人の場合、とりあえず1区分出しておけばいいかなと思って、1区分の場合に最安値の事務所にお願いしたくなりますが、実際は3~5区分程度は調べることになりますので、3区分毎の料金について比較検討してみるといいでしょう。

あいぴー
高いから自分でやろかな
ふっくん
できないことはありませんが、出願数が少ないなら、弁理士に任せてしまうのも手ですよ。

商標調査は素人では慣れるまで相当時間がかかるので、その間他の業務ができませんし、漏れがあると、特許庁での審査結果が出る半年から一年後に拒絶理由を食らって大打撃、ということにもなりかねません。

特許に比べ商標登録出願は安いのでプロにまかせてしまったほうがいいでしょう。
ただし、これから多数商標登録出願をする予定があって、複数の知財担当者の人員確保が可能ならば社内の人間に出願を任せるのもいいでしょう。

知財部員や知財担当者にはぜひ商標登録出願を覚えてほしいところですが。

ふっくん
商標で得られる収入や守れる権利に比べたら、特許庁への年金や弁理士費用など安いものです。餅は餅屋に任せて、自分は自分の仕事をしましょう。
あいぴー
そうやな。うちはほかにもやらなあかんことがたくさんあるし、面倒なことは嫌いだから、プロにお願いするわ
ふっくん
ただ出願するだけでなく、登録要件を満たした適切な出願をしてくださいね