著作権者は強力な権利を有しますが、一定の場合には著作権が制限されます(著作権法30条以下参照)。
どのような場合に著作権が制限されるのが具体例を見てみましょう。
チーたん
あいぴー、今日回ってきた社内資料のことなんだけど・・・
あいぴー
どうやった?あれで行こうと思っとるんやけど
チーたん
あ、うん。昔の人気キャラクターを起用して新商品のプロモーションに使うことについては異論はないよ。でも、一つだけ気になることがあって・・・
あいぴー
なんやの?
チーたん
キャラクターについては、これから著作権者とライセンスの話を進めるのであって、まだ著作権の許諾は受けていないよね?
なのに、社内報にキャラクターの著作物を堂々と印刷するのってどうなのかなって思って・・・。
なのに、社内報にキャラクターの著作物を堂々と印刷するのってどうなのかなって思って・・・。
あいぴー
会社外部に持ち出されるわけやないし、「私的使用」ってことで済むんやないの?
チーたん
確かに著作権法には「私的使用」という規定があるけど、これは家庭的・個人的な使用についての規定でしょ?
業務のためというような理由がある場合、私的使用には当たらないはずだよ。
業務のためというような理由がある場合、私的使用には当たらないはずだよ。
あいぴー
そうなん!?心配やから教えてや、ふっくん!
ふっくん
心配されることはありませんよ
チーたん
会社で使っているのに、私的使用になるの?
ふっくん
いえ、この場合は「検討の過程における利用」となります。
チーたん
検討の過程における利用?
ふっくん
はい。たとえば、今回のように、あるキャラクターを採用しようかどうか検討段階にある場合において、社員の意見を募りたいときに、社内報に当該キャラクターを印刷することは著作権法30条の3の規定により許されます。
検討の過程における利用
第三十条の三 著作権者の許諾を得て、又は第六十七条第一項、第六十八条第一項若しくは第六十九条の規定による裁定を受けて著作物を利用しようとする者は、これらの利用についての検討の過程(当該許諾を得、又は当該裁定を受ける過程を含む。)における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、当該著作物を利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
チーたん
そっか、業務で使用するとはいえ、それを利用してお金を儲けてやろうと考えているわけではなくて、検討しているだけだもんね
ふっくん
でも、HPに載せるとかツイッターでつぶやくという行為は行き過ぎですので著作権侵害になりますよ
チーたん
気を付けるよ!
ふっくん
それから、会社で著作物を利用する場合に著作権侵害とならない事例として、こんな例もあります。
たとえば、録音装置を開発していた場合において、その精度を確かめるために、開発者のたまたま持っていた中島みゆきのCDに録音されている曲を録音するという行為は「技術の開発または実用化のための試験の用に供するための利用」として許されます。
技術の開発又は実用化のための試験の用に供するための利用
第三十条の四 公表された著作物は、著作物の録音、録画その他の利用に係る技術の開発又は実用化のための試験の用に供する場合には、その必要と認められる限度において、利用することができる。
チーたん
特許法69条1項みたいだね
ふっくん
その通り!さすがチーたん、しっかり勉強していますね
チーたん
でへへ(≧∀≦)