著作権は、特許権や商標権などと並ぶ知的財産権の一つです。

著作権法は膨大で複雑ですが、日常生活に密着している法律ですので、具体例を読めば容易に理解することが出来ます。

 

このページを読んだ後に、このサイトの著作権カテゴリーの他のページをいろいろと読んでみてからもう一度復習としてここに戻ってきてください。

具体例を頭に入れてから読み返すと、すっと頭に入ってくると思います。

 

あいぴー
今朝の新聞にもDVDの違法コピーで逮捕者!って記事が載っとったわ。
こんな著作権侵害のニュースをよく見かけるけど、具体的にどの行為が著作権侵害でどの行為がセーフなのかようわからんわ。

そもそも著作権って何なん?見えへんやん。
誰の物やの?

ふっくん
著作権は特許権や商標権と同じく、目に見えない権利である知的財産権(手で触れられない体を持たない権利であることから、昔は無体財産権と呼ばれていました)の一種です。

著作権は著作者が創作をしたときに発生します。

著作者とは、著作物を創作する者(著作権法2条1項2号)のことを言います。
今のところ人間にしか認められていません。
将来的には動物にも認められるかもしれませんが・・・。

あいぴー
うちが今読んでるこのニュース記事って著作物なん?
ふっくん
ニュース記事はジャーナリストが書いたものですよね。著作物なので著作権として保護されますよ。
ただし、どんな事件が起きたというような事実の報道やデータなどは著作物として保護されません。
あいぴー
著作権って勝手に使ったらお金を払えって言える権利なん?
ふっくん
必ずしもそうとは言い切れません。

まず、著作権は著作財産権と著作者人格権に分かれます。

著作財産権は、移転可能な財産権で、その権利を持っている人が、その著作物が生み出した収益を得られる権利です。

一方、著作者人格権は、お金から離れて、文字通り著作者の人格権を保護するための権利です。

基本的人権と同じように、たとえ著作財産権を他者に売り渡してしまったとしても、著作者に残る権利です。

公表権・氏名表示権・同一性保持権の3つがあり、このうち同一性保持権(著作権法20条)が著作権侵害の際に最も問題になってくる権利です。

替え歌をYouTubeにアップしたり、小説や漫画の二次創作をするときに話題に上るのでおなじみですね。

あいぴー
うちが創った歌も著作権法で保護されるん?
ふっくん
プロでもアマでも関係なく、人(法人を含む。ただし、著作者人格権を除く)が創作した途端に著作権が発生します。
著作権は他の知的財産権と異なり、何の手続きもすることなく発生します(無方式主義)。著作権の登録制度も存在しますが、権利を発生させるための制度ではありません。

原則として、創作した人が亡くなっても死後50年もの間保護されます(映画の著作物だけは、公表後70年間)。

あいぴー
創作者が長生きすれば、140年以上著作権が生き続けることもありそうやな。
ふっくん
特許権や商標権など他の知的財産権は各国ごとに登録手続きを経なければ権利が発生せず、しかも権利期間は出願してから20年間程度であることと比べると、どれだけ強力な権利であるかが分かると思います。

保護期間の終了した著作物(パブリック・ドメイン)は、誰でも自由に利用出来ます。

たとえば、2015年でヒトラーの「わが闘争」の著作権が切れるので、2016年からは誰でも自由に「わが闘争」を出版出来ます。

禁書扱いすべきだとか思想的に問題があるということは、また別の話です。

あいぴー
うちのダンスも保護されるん?
ふっくん
振付にも著作権が発生します。

それから、ここが難しいところなのですが、ダンスをしている人には著作隣接権が発生します。
著作権法では歌手やダンスをする人のことを「実演家」と呼び、その人たちの実演を「著作隣接権」で保護しているのです。

あいぴー
うちが創った小説と似てる小説が書かれたら著作権に基づいて損害賠償請求とか出来るん?
ふっくん
著作権は「絶対的独占権」ではなく「相対的独占権」です。

登録を経なくても権利が発生するため、偶然似てしまう創作が創られることがあります。その場合でも両者は併存します(他の知的財産権は、先に出願し登録された方だけが生き残ります)。
著作権侵害の責を負わせられるのは侵害者が当該著作物に「依拠して」、つまり真似して著作物を創作したときだけです。

そうではなく、偶然にてしまっただけなら何も主張することは出来ません。

ふっくん
著作財産権は、複製権(他人に無断でコピーされない権利)、公に伝達する権利(上演権・上映権・演奏権、公衆送信権、貸与権・譲渡権・頒布権)、二次的著作物に関する権利(たとえば、小説を漫画化する場合、小説が原著作物と呼ばれます。そして、二次的著作物である漫画が翻訳等されるときには、漫画家だけでなく、原著作物の著作権者、つまり小説を書いた人にも許諾を貰わなければいけません)に分けられます。
チーたん
ぼくが家で歌手のCDを聴くときにはJASRACに許諾を貰わないといけないの?
ふっくん
家庭で著作物を楽しむ分には著作権者の許諾を得る必要はありません。
「私的使用」に著作権は及びませんから。

ただし、インターネットで他者の文章や画像を公開するような行為は、たとえそのブログが遠方に住む家族からしかアクセスがないブログでも、私的使用とは認められません。

ちなみに、学校など教育機関でなら「必要な範囲内に限れば」使用することができます。
市販のドリルをクラスの人数分コピーするという行為は認められません。
また、「教育機関」に塾などは該当しません。

あいぴー
うちの会社のサイトで歌手の曲を流す場合は?
ふっくん
普通の会社のする行為は私的使用や非営利の要件を満たしません。
所定の手続きをとらなければいけません。
チーたん
ブログやサイトで他人の記事や画像を紹介するのは?
好意的な記事を書くなら曲をもらえるだろうけど、批判記事を書くときにOKをもらえるとは思えないけど、記事を書きたいときもあるよね。
ふっくん
引用」の要件を満たせば、著作権者から許諾を得なくても利用出来ますよ(著作権法32条)
チーたん
故意に著作権を侵害した場合には刑事罰もあるって聞いたことがあるけれど、個人で楽しむ分には著作権侵害はあまり気にしなくていいんだね。
ふっくん
あまりにも著作権者を保護しすぎてしまうと文化の発展が阻害されてしまいますからね。
公共の利益と著作権者の利益のバランスを保っているわけです。

著作権の法目的は著作権法第1条に現れている通り「著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与すること」です。

著作権者が創作の正当な対価を得て、かつ文化が発展していく助けとなるべき法律なのです。

チーたん
権利期間が長過ぎてバランスが取れていない気がするけど・・・
ふっくん
既得権者は利益を手放したくないですからね。
しかし、少なくともこれ以上著作権の保護期間が長くなったりしないようにバランスを取りたいですね。
あいぴー
著作権みたいな知的財産権は物理的に独占が出来へんから、ついつい他人の著作権も勝手に利用して稼いでやろうって考えてしまいがちだけど、お金がからむと刑事罰を免れへんやろうから止めとくわ・・・
チーたん
会社の社長が著作権侵害なんてしちゃったら対外的にイメージが悪すぎるからそんなこと止めてよね!(笑)