商品名やキャラクター名を一般公募して決めるという方法はよくとられています。

 

しかし、もしその名前を知的財産権で守ろうと思ったら、気をつけなくてはいけない点があります。

 

知っているか知っていないかで被害を防げるので、経営者や知財担当者はここで知的財産権のイロハに付いて学びましょう。

 

あいぴー
うちの商品の新しいネーミングを公募したんや。
時代はオープンイノベーションやからな。

そしたらいろいろと良い名前が集まって、その中で一番いいネーミングを新商品に付けることにしたんや。

会社のサイトでも大々的に告知してな。

 

で、商標登録出願しようと思ったら、既に3日前に全然関係ない会社から同じ指定商品で商標登録出願されとるからアカンって拒絶理由通知が届いたんや。

どうしたらエエの?

ふっくん
日本の商標法は先願主義(商標法8条1項)を取っていますから、たとえ一日違いでも先に商標を出願した者に商標登録が与えられます。

あいぴーの出願は3日違いで先を越されてしまったので先願出願を理由に拒絶されます(商標法15条)。

先願 商標法8条1項

同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なつた日に二以上の商標登録出願があつたときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。

あいぴー
そこをどうにか出来へんの?
めっちゃこの名前気に入っとんねん
ふっくん
恐らくですが、この先願出願は、あいぴーの会社のサイトを見て商標登録出願したんでしょうね。
あいぴー
そうやろ。うちもそう思うねん。
だから、「不正の目的」とかでどうにかできへんの?
ふっくん
日本の商標法は3条の柱書で「商標登録出願人の使用意志」を求めることにはなっていますが、厳密に審査されるわけではありません。

ですから、いくら不正の目的があろうとも先に出願したものが登録されるのです。

どうしてもそのネーミングを使いたいならその商標登録出願人と交渉して「商標登録出願により生じた権利」を譲ってもらうしか無いでしょう。

または商標登録後に商標権を買い取ります。

売ってもらえない場合もありますけどね。

あいぴー
めっちゃ悔しいわ!
ふっくん
今更地団駄を踏んでも遅いですよ。

これを機に、きちんと知的財産権について学んでください。

チーたん
発明と似てる面があるね。発明は特許出願する前に他者に見せてはいけないでしょ。
ふっくん
そうです。アイディアを盗まれてしまいますからね。
また、新規性喪失の例外(特許法30条)があるとはいえ、出願前に発明を公にしてしまうと、特許権を取得することすらできなくなってしまいます(特許法29条、同49条)。

商標権の場合は、公にしてしまうと新規性を理由に出願が拒絶されてしまうといった心配はないのですが、あいぴーの例のように、単純に良いネーミングだから盗まれるという危険にさらされることになります。

したがって、発明と同じように、商標登録出願前に商標登録をしようと思っているネーミングを公にすることは控えるべきです。

あいぴー
既にそのネーミングをつけた商品を作ってしまったんやけど・・・
ふっくん
損失額は数百万といったところですか。

ちょっと高すぎる授業料でしたね。

メルマガで無料で勉強してこんな事態になることを事前に防いでください。

チーたん
損失額が数千万円じゃなかっただけ良かったね!
あいぴー
悔しすぎるわ〜(ToT)