ワークライフバランスというと、一般には仕事時間を減らしてプライベートを充実させなければいけないという誤解が流布しているように感じます。
また、人によっては、「ワークライフバランスだなんて仕事ができないやつの甘えだ」なんて意見もあります。
しかし、ワークライフバランスとは、決して仕事時間を減らすこととイコールではありません。
そこで、ワークライフバランスについてまずは基本的な知識を身につけ、続いて、自己の生活に役立たせる考え方についてお話したいと思います。
ワークライフバランスの基礎知識
ワークライフバランスとは、簡単に言うと、「仕事と生活の調和」のことです。
内閣府は、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を持ちながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる」ことを目標にしています。
ここで注目したいのが、ワークライフバランスを提唱している国の取り組みとして、「育児との両立」が重要な位置づけとなります。
なぜなら、日本は少子化が続き、国力が衰えていっているため、これに歯止めをかけるためには、どうしても働きやすさと女性の社会進出を促さなければならないからです。
もしここを疎かにしてしまうと、移民を受け入れるなど別の施策を採るしかなくなってしまいます。
しかし、日本は島国であり、歴史的に移民の受け入れに耐性がないので、簡単には移民の受け入れをできません。
そこで、「将来の働き手としての子供の数を増やす」ことと「子供がいる親(特に母親)が働くことにより、働き手の数を増やす」ことが重要になるのです。
現在はまだまだ子供を持つお母さんにとって働きやすい状態とはいえません。
共働きとはいっても、家事と育児の負担割合は圧倒的に妻が多く、母親が働くと家庭が崩壊するケースも多いといいます。
働ける人が働かないと日本全体の国力が弱まってしまうのに、働ける女性が家にとどまっている。この状態は健全ではありません。
そこで、政府は国をあげて上述したような制度の整備の他、様々な取り組みをしています。
その一つが「くるみん」制度です。
聞いたことが無いという人も多いかもしれませんね。
「くるみん」とは、子育てと仕事の両立のための行動計画を策定・実施し、それが一定の要件を満たした企業を厚生労働大臣が次世代法に基づき認定する制度です。
また、「プラチナくるみん」という制度もあります。これは、既にくるみん認定を取得しており、更に両立支援の取り組みが進んでいる企業が一定の要件を満たした場合に認定される制度です。
「くるみん」が認定された企業は2848社(2018年現在)、「プラチナくるみん」が認定された企業はまだ181社しかありません。
過去には一度はプラチナくるみんの認定を受けながら認定を取り消された企業も存在します。また、従業員の多くが不満を抱えている会社でも表向きは認定を受けることもできてしまいます。
このように、制度的にはまだまだですが、日本という国の未来を考える上で非常に重要な制度といえます。
「自分には子供なんていないから関係ない」なんていえません。
少子化(働き手の減少)は数十年後に日本全体の弱体化及び貧困として個人に重くのしかかってきます。
働き手が少ないと今まで国が面倒を見ていてくれた健康保険料やごみ収集費用その他諸々のタダや安くて当たり前の制度が高額化し、貧しい人がより貧しくなってしまうのです。
日本という国に暮らしている以上、決して自分には子供がいないから関係ないなんて言えないのです。
ワーク・ライフ・バランスを実現するには
さて、国の制度についてわかったところで、これをご自分の場合に当てはめてみましょう。
たとえば、今現在仕事量が多すぎて家族との時間が取れない、余暇が全く無いといった場合には、働き方を変えるのも生き方の一つです。
方法の一つとして、在宅ワークの比率を増やしてもらうことにより、家族と過ごす時間が増えます。
といってもこのように柔軟な対応をしてくれる企業はまだまだ少数派でしょう。
通常は、会社の言いなりになって働くしか従業員の採れる方法はありません。
人生において、仕事の比重は大きいことから、より待遇の良い企業で働くことが個人の幸せに繋がります。
そして、個人が幸せを感じると生産性の向上にも繋がることから、結局は国全体のためになると思うのです。
必ずしもブラックな環境でがむしゃらに働くことだけが生産性や収入をアップさせる方法ではありません。
精神面でも肉体面でも充実した生活を送れるように、健全な環境で精一杯働くことが結局は医療費の削減にも繋がり、より良い生き方に繋がるのではないでしょうか。
そこで、ワークライフバランスの実現のためには、転職をするという方法も視野に入れましょう。
既に激務で毎日が苦しい方、子供がまだ小さくて家族との時間がほしい方、生産性を増やして余暇も充実させたい方、そんな人達は、上記した「くるみん」認定を受けた企業への転職を考えると良いでしょう。
同じような境遇にいる人達が生き生きと働いているので周りに気兼ねをすることなく定時に退社したり、有給をとることができます。
といっても、「くるみん認定」とは名ばかりでくるみん認定を取り消されたような企業も存在します。
そんな会社へ就職してしまっては、何のための転職かわかりません。
転職時には出来る限り内部の情報を知っている従業員等に話を聞くようにしましょう。
知財業界でしたら私も様々な情報をお渡しできますので、お問い合わせください。