弁理士資格は業務独占資格であり、独立できることも大きな魅力の一つなので、「いずれは独立したい」と考える弁理士もたくさんいます。
反対に、「明細書作成業務に集中したい」「リスクは取りたくない」と考え、雇われ弁理士であることを望む人もいます。
人によって考え方は様々なのでどれが正解ということはないでしょう。
(この人、こんなに優秀なのに何で独立しないんだろう?と不思議に思ってしまう人もたまにいますが。メイン業務以外したくないとか、所長の魅力というのもあるみたいですね〜)
ただ、傾向として、最近は特許出願件数が下がり(=弁理士の仕事が減り)、明細書の単価引き下げ圧力があるので、昔と違って「弁理士資格さえあればウハウハ」ではありません。
(60代以上の昔の旨味を知っている人は「5年必死で努力すれば必ず報われた」というでしょうが、今はもうそんな時代ではありません)
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特に独立すると、明細書を書くという弁理士の能力とは別の「経営」能力が求められるため、どんなに優秀な明細書書きでも上手くいかなくなるという可能性もあります。
実際、大きな夢を描いて独立してみたものの、食べていけなくなって廃業する弁理士も少なくない数います。
そんな人たちは、特許事務所に転職することになりますが、それはそれで良い経験と捉えて前向きに考えれば良いと思います。
さて、弁理士資格保持者のなかには、特許実務経験の無い人たちもいます。
すなわち、特許事務所や企業知財部で勤務することなく、弁理士試験に受かった人たちです。
こんな人たちは、たとえば学生だったら新卒で知財部や特許事務所に行きますし、20代後半〜30代だったら、特許事務所へ転職ということを考えたりするでしょう。
ところが、40代や50代で弁理士試験に受かった実務未経験者の場合は大変です。
今までの経歴×知財のコンサルタントになりたいというのならそれも良いでしょう。
(実際にそんな方にお会いしてお話しましたが、とても楽しそうに未来のビジョンを語ってくれたので私もすごく楽しかったです)
しかし、「弁理士資格さえあればすぐに仕事がある」と思っていた人の場合は悲惨です。
だって、たとえ弁理士資格を持っていたとしても、40代以降の実務未経験者は雇ってもらえないから。
そんな人が仕事を得るにはどうしたら良いかというと、コネを使って入所するしかないでしょう。
苦労した経験のある弁理士の先生がうちにおいでと言ってくれる可能性があります。
しかし、コネを持っていない場合には、残された路は2つです。
一つは、せっかく取ったけれど弁理士資格を活用しないこと。
勿体無いですがこれも一つの方法です。
もう一つは、いきなり独立してしまうこと。
実務経験は無いけれど、実務研修は受けたしどうにかなる!と勢いで独立します。
・・・まあ、勢いだけではどうにもなりませんが、経営についてしっかりと考えてから独立すれば成功する可能性はゼロでは無いかもしれません。
もちろん特許明細書を書くことは出来ないので、商標に特化するとか(商標も実務経験を積んでいないと心配ですが)、何らかの戦略が必要です。
今の御時世、ほとんど自殺行為ですが・・・。
たとえ40歳以上でも、実務未経験ならまずは特許事務所に転職して鍛えてもらうことが必要でしょう。
5年も鍛えて貰えればそれなりに明細書は書けるようになっているはずです。
その時点で独立や別の特許事務所への転職を考えてみるのが一番現実的だと思います。
なお、特許事務所に転職したくてもコネがない、コネが欲しいという方はお問い合わせください。私の知人の特許事務所の先生方にかけあってみます。
タイミングもあるでしょうが、上手く行けば入所できる可能性があります。
50代特許実務未経験で転職を成功させた方もいらっしゃいますよ!
実務経験のある方は、経営について学んでから独立するのも良いですし、他の特許事務所も見てから転職というのも良いでしょうね。
元知財部の弁理士さんで、1〜3年だけ特許事務所を経験してから独立したいという方の話も聞いたことがあります。