医療費の膨張が国の財政を圧迫しています。その原因の一つが薬価の高騰です。
この問題に対処するために、国はジェネリック医薬品の普及を進めています。
近年では通常の医薬品だけでなく、バイオ医薬品の後発薬であるバイオシミラー(バイオ後続品)の開発も熾烈を極めています。
なぜなら、一番最初にバイオシミラーを販売すれば、バイオシミラー市場を独占できるから。
そのため、どこの会社も必死でバイオシミラーの開発にしのぎを削っています。
しかし、バイオ医薬品は低分子医薬品とは異なり、成分の構造が複雑です。バイオシミラーの開発はジェネリック医薬品の開発よりも開発費も期間もかかり、ずっと困難なのです。
他社特許に抵触し、開発中止をすることも少なくありません。
抗がん剤リツキサンのバイオシミラー及び自己免疫疾患治療薬エンブレルのバイオシミラーの開発を中止したという会社のニュースを聞いた人も多いでしょう。
それでも公に又は水面下でバイオシミラーの開発をする企業は跡を絶ちません。
2015年から2020年にかけては、大型のバイオ医薬品が特許切れを迎えるのでバイオシミラー市場は更に活性化するからです。
バイオシミラーの開発中止の例も多いのですが、バイオ後続品の承認を取得した例も増えてきています。エンブレルやリツキサンのバイオシミラーの販売が決まりましたしね。
なお、リツキサンのバイオシミラーは特許権侵害訴訟を提起されていますが、販売中止にならずに発売されます。上述したように、バイオシミラーの販売一番手になりたいからだと思われます。
この記事を書いている段階(2018年2月2日)ではこの訴訟の行方はまだわかっていないのですが、ブログでもこの訴訟の行方を追っていくつもりです。
なお、製薬会社によっては、バイオシミラーの開発品を明らかにしない企業も多いと言われています。
開発を水面下で進めている企業も少なくないと考えられるので、突然バイオシミラーに参入・用途特許の特許権侵害訴訟というケースも頻発するかもしれません。
いずれにせよ、バイオシミラーの会社に転職したいと考えている人は、転職前にバイオ医薬品の先発薬開発企業に転職しておくと好条件でバイオシミラーの会社に転職することができるでしょう。
医薬特許の特許切れについても実は奥が深いものなので、勉強しておくと転職時に有利でしょう。
「知財の知識」で勉強すると、効率的に知財の知識が身につきますよ。
なお、理系の方で知財業界での転職を考えている方は私にお問い合わせください。
人生が変わるきっかけとなるかもしれません。