特許翻訳と聞いた時、特許業界にいない人は、特許の翻訳なんだろうと漠然と想像するだけだろうと思います。
また、知的財産翻訳も同じです。知的財産に関する翻訳なのだろうなと想像するだけでしょう。
もちろんそうなのですが、ここで、しっかりとした知識を身につけましょう。
知識ゼロからの特許翻訳
まず、特許とは何かと言うことですが、特許とは、「発明」、つまり、「高度な技術的思想」(特許法2条1項)に権利が与えられたもの(特許法2条2項)です。
そして、人が頭のなかで考えた技術的思想(発明)について特許を受けようとするときは、特許出願人の名前や住所等が記載された願書に明細書と呼ばれる特許書類を添付する必要があります(特許法36条)。
ここで、各国の特許出願は基本的にその国の言語でする必要があります。
日本でだけ特許がほしいのなら日本語で出願すれば良いのですが、外国でもその国の特許がほしいのなら国ごとに(大変だしお金もめちゃくちゃかかります!)特許出願をしなければいけません。
そして、日本語で書かれた明細書を外国語に翻訳すること及び外国語で書かれた明細書を日本語に翻訳することを特許翻訳と言います。
・・・とまぁ、かなり端折って説明してしまいましたが、大まかなことはご理解いただけたでしょうか。
詳しいことを学びたい方は、知財の知識を御覧ください。初心者から専門家レベルまで詳しい説明をしています。
さて、あと少しだけ特許翻訳についてご説明いたしましょう。
特許明細書とは
特許の世界は基本的には「書面主義」なので手続きはほぼ全て書面に基づいて行われます。
特許明細書は出願人が特許を得たいと考えている発明を記述により開示する書面です。
特許明細書の一番の役割は、特許の権利範囲を画定することです。これは、特許請求の範囲(claim)と呼ばれる部分の記載によって決まります。
この特許請求の範囲の記載は出願段階においても権利化(特許)後においても重要なので、決まったルールにしたがって記載しなければいけません。
日本語の特許文書は一文が長く、内容も複雑で冗長であるという特徴があります。
このような特許文書を直訳して英文の特許明細書を作成すると、読みにくく、意味が伝わりにくくなる恐れがあります。
したがって、ただ単に日本語を英語に翻訳するのではなく、「正しく読みやすく権利範囲を適切に表現した明細書」を作成する必要があります。
特許翻訳者の仕事
さて、上記したように特許翻訳を職業とする人を特許翻訳者といいます。
普通の翻訳より難しくやりがいのある仕事ですが、英語の響きが好き!話すのが好き!という人にはむかないかもしれません。なぜなら、特許翻訳には「話す・聞く」という力が必要ないからです。
英語が好きな人の中には、英語のイントネーションや響きが好きだと言う人が多いといえます。
声に出すと楽しくなりますよね。
その楽しさが、特許翻訳にはないのです・・・。
また、英語が好きな人には文系の人が多いと思いますが、理系の知識がないと技術翻訳というものは非常に辛いといえます。
最新技術について翻訳しなければいけないのですから。
(逆に言うと、たとえ文系出身でも技術を学び続ける覚悟がある人には非常に向いています!特許翻訳者には文系出身で活躍している人もたくさんいますよ)
更に言うと、単価が高い割にはマイナーで、一般受けの良い仕事とは言えません。(一般受けの悪さでは弁理士も同じですがw)
同時通訳をしている、というと「かっこいい!」と言われるのに「特許翻訳をしている」というと「そうなんだ」で終わってしまい、慌てて自分で「技術の翻訳なんだ!難しいんだ!」とフォローを入れたくなるとか・・・。
ですから、純粋に英語が好きな人には辛い仕事といえるのですが、他の分野の翻訳よりずっと単価が高いので、英語で時給の高い仕事をしていきたいという人にはお勧めです。
特許翻訳者になるお勧めの方法
特許翻訳者になりたい場合、普通は特許翻訳の学校に通おうと思うでしょう。
しかし、特許翻訳の専門学校の学費は高く、早く働いて稼ぎたいという人には大きな負担となってのしかかってきます。
そこでお勧めなのが、”働きながら覚える”という方法です。
特許事務所では特許翻訳者を募集していることがあります。
そこで働かせてもらって仕事をしながら優秀な特許翻訳者になるために必死で勉強するのです。特許事務所には辞書や参考書など特許翻訳に必要なものは全て揃っています。
この働きながら仕事を覚えるという方法は本当にお勧めです。
お金を貰えて勉強させてもらえるなんて最高ですから。
ただ、未経験の場合、多くの特許事務所では断られてしまうでしょう。
そこで、特許事務所に転職するなら我々にご相談ください。
勉強させてくれる特許事務所で特許翻訳者としてのスキルを身につけることができるように事務所の選び方等をお伝えいたします。